緒締(おじめ)とは?堆朱、蒔絵、象牙、珊瑚など主な種類9つ。
緒締と緒締の主な種類をご紹介します。
緒締めとは
緒締めは袋や巾着など緒を通しての口を閉じるためのもので、現在でいう「コードストッパー」のような道具です。
印籠にも使われており、印籠の左右から伸びる緒を一つにまとめて根付に繋いでいます。
印籠をはじめとした帯から提げる「提げもの」は、小物入れなどの実用品としてだけではなく装飾品的な意味合いでも身につけられ、蒔絵や彫刻などが施された装飾的な品が数多くつくられました。
印籠の付属品でもある緒締もそれに見合った装飾性が求められるようになり、さまざまな素材や技法を使った緒締が登場。根付や印籠と組み合わせて一つのテーマを表現したり、謎かけと回答になるよう組み合わせたりするなどして親しまれました。
今回は緒締の種類を紹介します。
緒締めの種類
一般的な緒締は玉の形をしていますが、楕円形や角型、動物などをかたどったものなどがあります。
また、緒締はさまざまな素材で作られており、比較的安価でシンプルな緒締から装飾性の高い印籠に合わせられる貴重な素材や技法を使った緒締まであります。
【珊瑚】
珊瑚には白、桃色、黒の種類がありますが、黒珊瑚はあまり好まれず、白珊瑚や桃色珊瑚が好まれていました。なかでも桃色珊瑚は特に好まれていました。
【メノウ】
メノウは石英などが層状に沈殿することでできる鉱物で、縞状の模様が特徴的です。古来より勾玉などの素材として使用されており、各地で産出されていました。
【水晶】
メノウ同様、日本各地で産出される鉱物です。江戸時代の刀装商・雑貨商であった稲葉新右衛門が発行した「装剣奇賞(そうけんきしょう)」では日向産が最上とされています。
【孔雀石】
孔雀石は銅を含む緑色の鉱物で、模様が孔雀の羽のように見えるからこの名がつきました。岩絵の具の材料としてよく使われているため比較的身近な鉱物ですが、緒締の素材としてはやや珍しいかもしれません。
【トンボ玉】
トンボ玉は柄が入ったガラス玉のことで、特に江戸時代においては青地に白い花模様のものを指します。現在は、「スジ玉」「雁木」などと呼ばれていた他の色柄のガラス玉も「トンボ玉」と呼びます。
【象牙】
象牙は象の牙や歯のことで、彫刻などの細工を施しやすいことから根付や三味線のバチ、茶入れのふたなどの工芸品の素材として使われてきました。現在はワシントン条約によって国際取引が原則禁止となっているため希少性が高くなっています。
【蒔絵】
漆芸の技法である蒔絵を使った緒締は蒔絵の印籠などに組み合わせられるのが一般的でした。
【堆朱】
塗り重ねた朱漆に彫刻を施し磨き上げて作る堆朱の緒締は、堆朱の印籠などと組み合わせて使われることが多かったようです。
【金属】
金・銀・赤胴・四分銀・鉄などの金属も緒締の素材によく利用されています。金属の緒締は彫金や象嵌、槌目などで装飾されたものなどバリエーションが豊富です。
このほか、陶製、木製、イッカクなどの動物の角、クルミ、鉱石、七宝などさまざまな素材が使われました。中国やヨーロッパから輸入した舶来品も人気があったようです。
まとめ
緒締は印籠などの提げものの付属品という性質上あまり注目されにくい品ですが、細かな細工が施された品や味わい深い品も数多く存在します。
博物館や美術館、骨董屋で印籠などを見る機会があれば、緒締めにも注目してみてはいかがでしょうか。