皇室の慶事に欠かせないボンボニエール。その歴史について教えてください。
ボンボニエールについてご紹介します。
砂糖菓子を入れる器
ボンボニエールは、フランス語で砂糖菓子を意味する「ボンボン」を入れる菓子器のことで、日本では皇室の慶事の際に贈られる品として有名です。
銀や陶磁器、木などで作られた手のひらに乗る程度の大きさの品が多く、中でも皇室のボンボニエールは装飾性が高く工芸品として優れていることから人気があり、希少性の高さなどからも高値で取引されることがあります。
今回は、ボンボニエールの歴史をご紹介します。
ボンボンの発祥は13世紀ごろ
ボンボンをはじめとする洋菓子のルーツは古代エジプトまでさかのぼるといわれており、紀元前200年ごろには蜂蜜や果実などで甘さを加えた小麦粉のお菓子を誕生日や婚礼の際に食べる習慣が浸透し、祭事とともにお菓子が供される文化が広まります。
帝政ローマ時代に入ると菓子文化はさらに発展し、様々な材料を使った菓子が登場しますが、このころにはアレキサンダー大王によってインドからもたらされた糖液の発酵物が菓子製造に使われるようになったと考えられています。
7世紀ごろ、ペルシアで糖液を発酵させない精糖法が考案され、長期保存が可能になったことから交易品として流通するようになった砂糖は、イスラム帝国の拡大とともに地中海沿岸に広まり、11世紀から始まった十字軍遠征によってヨーロッパにもたらされ、果物の砂糖漬けやシャーベットの原型ともいえる氷菓が作られるようになり、13世紀ごろにはボンボンが作られるようになったといわれています。
地中海貿易でしか手に入れられなかった砂糖は貴族など一部の富裕層しか口にできない貴重な品で、太陽王といわれるルイ14世はアニスの種を入れた「アニス・ドゥ・フラヴィニー」というボンボンを好んで食べていたそうです。
ボンボニエールの誕生と発展
ルイ14世に愛されたボンボンはやがて「ボンボニエール」と呼ばれる専用の器に入れられるようになり、その容器は高級な菓子にふさわしい装飾的で美しい形へと進化していきます。
また、ヨーロッパでは古くから子供の誕生や婚礼の際に菓子を贈る習慣がありましたが、ボンボンも引き出物として使われるようになるとボンボニエールも記念品にふさわしい大きさと装飾性を備えた形へと発展していきました。
皇室のボンボニエール
明治時代に入ると日本と西洋の交流が盛んになり、皇室では外国の賓客を招いて西洋式の饗宴を実施するようになります。その際、引き出物やお土産としてお菓子を渡すようになり、お菓子を入れる器として使用されたのがボンボニエールだったといわれています。
皇室に取り入れられたボンボニエールは、日本の優れた工芸技術を取り入れて日本独自のボンボニエールに発展し、やがて、その工程が子育てなどに通じることから縁起物として扱われるようになった「和製ボンボン」ともいえる金平糖を入れて慶事の際に贈られるようになったといわれています。
まとめ
ボンボニエールは、貴重な品として扱われていた砂糖をふんだんに使ったボンボンを入れるのにふさわしい形に発展し、日本では皇室に取り入れられて独自に発展しました。
ヨーロッパのボンボニエールも皇室のボンボニエールもコレクターに人気があり、非常に高い価値がつくこともあります。
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