何が違う?!日本刀と軍刀の違いを教えてください。
日本刀と軍刀の違いをご紹介します。
軍刀とは
軍刀は、明治維新以降に作られた軍用の刀剣のことです。時代に合わせて様式などが異なり、同時代であっても階級や所属などによって拵えが異なるため、一言で「軍刀はこのような見た目をしている」ということはできません。
江戸時代までの伝統的な打刀や脇差といった日本刀に比べるとイメージがつかみにくく、時には「質が悪い」「斬れない」といわれることもある軍刀ですが、日本刀と軍刀にはどのような違いがあるのでしょうか。
軍刀と日本刀の違い
日本刀は日本独自の鍛冶製法で作られた刀剣の総称で、どの時代に作られた刀であるかは基本的に問いません。安土桃山時代や江戸時代に作られた刀はもちろん、昭和や平成に作られた刀であってもその製法が伝統的な鍛冶製法で作られていれば日本刀に該当します。そのため、明治時代や昭和時代に作られた軍刀でも、刀身が従来製法であれば日本刀ということができます。
しかし、軍刀は明治維新後に行われた富国強兵政策と軍隊の西洋式の影響を受けて作られた刀であり、西洋的な意匠を取り入れた形式となっていることから刀身の製造法にかかわらず日本刀とは区別して扱われるのが一般的です。
また、日本刀は基本的には両手で扱いますが、日本が軍隊の西洋化の参考にしたフランスでは片手で扱うサーベルが主流であり、軍刀もこれにならって片手で扱えるよう作られました。江戸時代の日本刀に比べると刀身が短く、柄もやや短いものが多いのが特徴です。サーベルを模した「サーベル型軍刀」や、両手でも扱える「サーベル型軍刀拵」の軍刀には、柄に「護拳」と呼ばれるパーツがついています。
さらに、室町時代から江戸時代まで主流だった打刀は帯にさすものでしたが、軍刀は太刀のように紐をつけて佩くという特徴があります。
日本刀と同じ製法の軍刀
軍刀は一般的に「兵器」として管理される官給品でしたが、将校や准士官などの軍刀は兵器ではなく制服の一部として扱われており、官給品ではなく私物でした。
このような私物の軍刀の中には、家宝などとして受け継がれてきた日本刀を加工したものや、日本刀の鍛冶製法で刀身を作り軍刀拵にしたものもあります。軍装として大まかな様式は制定されていたものの細かい部分は決まっておらず、個人の趣味や入手事情もあり刀身や拵も一様ではありません。
また、従来製法で作られた軍刀は銃砲刀剣類登録の対象となることがあります。
工業製品の軍刀
下士官などが使う官給品の軍刀や、戦争で需要が拡大してた昭和時代の軍刀は機械を使って作った工業製品です。工業刀は銃砲刀剣類登録の対象にはなりません。
昭和時代に作られた軍刀は「昭和刀」とも呼ばれますが、作られた時代、製造所、製造法、刀身の原料配分などは多岐にわたります。
日清戦争・日露戦争で採用された「村田刀」、陸軍造兵廠が直接又は監督製造した「造兵刀」、満州で作られたことから「満鉄刀」とも呼ばれる「興亜一心刀」、極寒の地でも折れにくいことから「耐寒刀」とも呼ばれた「振武刀」などがあります。
質の悪いものもあったことから「質が悪くて斬れない」というイメージを持たれることが多い工業刀ですが、当時の技術を最大限に生かして作られた興亜一心刀などは、従来の日本刀にも劣らない性能を備えているといわれています。
まとめ
軍刀には様々な種類があり、時代や製作者、大量生産品か一点ものであるかなどによって大きく価値が変わります。状態がよい品であれば工業刀でも高値がつくことがあるので、売却を検討している軍刀をお持ちの方は、弊社にご相談ください。