シンプルで柔らかい風合いと表面のヒビが特徴の萩焼。代表的な作家と取引相場は?
萩焼の代表的な作家と取引相場をご紹介します。
「茶人好み」として知られる萩焼
茶道の世界では茶人好みの茶碗を「一楽、二萩、三唐津」と順位付けており、格の高さを示す言葉としても使われていました。
二番目にあげられている萩は山口県でつくられる焼き物で、シンプルな形と外観、柔らかく温もりのある風合いが特徴です。
また、萩焼の表面には「貫入」と呼ばれるヒビが入っており、そこに茶や酒が染み込んで使うごとに味わいを醸し出されることから「七化け」と呼ばれ、古くから多くの茶人に愛されてきました。
今回は萩焼の代表的な作家や取引相場についてご説明します。
代表的な作家
萩焼は古くから代々続く名窯が多く、その作品は個人名ではなく当主に引き継がれる名前が作家名となっていることがほとんどです。
そのため、「作家」というよりも「窯元」と表現したほうが正確かもしれませんが、萩焼の代表的な作家をご紹介します。
【三輪休雪(みわきゅうせつ)】
三輪休雪は萩焼の名窯として名高い「三輪窯」の当主です。
なかでも、萩焼の原型といわれる高麗茶碗を研究して独自の作風を完成させ、「休雪白」と呼ばれる作品を生み出した10代目と、「休雪白」のすぐれた作品を生み出しただけではなく、古くからの技法である「鬼萩」を独自の技法に昇華させた11代目は共に人間国宝に認定されており、特に高い評価を得ています。
【坂高麗左衛門(さかこうらいざえもん)】
坂高麗左衛門は桃山時代から続く「坂窯」の当主です。
坂窯は作陶のために渡来してきた朝鮮人陶工の李勺光(りしゃっこう)と弟の李敬(りけい)のうち、李敬が初代当主となって開窯し、三輪窯と共に萩藩の「御用窯」を務めてきました。
【坂倉新兵衛(さかくらしんべえ)】
坂倉新兵衛は「坂倉窯」の当主です。
初代当主は坂窯の初代当主である李敬の兄の李勺光で、萩城下の松本村に築窯された松本・深川萩の流れをくんでいます。
12代目は萩焼全体が窮地に陥った時代に表千家との繋がりを深め、茶陶としての萩焼の格式を高めたことから「萩焼の中興の祖」と呼ばれています。
【田原陶兵衛(たはらとうべえ)】
田原陶兵衛は「萩焼深川窯」の当主で、李勺光の家系の三代目にあたる山村平四郎光俊が中心となって創設した「三ノ瀬焼物所」を創設して以来、民窯として栄えている窯元です。
10代目の頃から「灰被り」や「皮くじら」といった陶芸技法を使用するなど、新しい発想や技法を取り込んでいることで知られています。
【坂田泥華(さかたでいか)】
坂田泥華は深川に古くからある「坂田泥華窯」の当主で茶陶に秀作と称される品が多いことで知られる名窯です。井戸茶碗を思わせる優美な作風は"泥華井戸"とも呼ばれており、伝統的でありながら独自性があり、骨董愛好家からも高い人気を集めています。
萩焼の取引相場
萩焼の取引相場は、どの窯元(作家)であるかだけではなく何代目であるかによって大きく価値が変わるため、取引相場もかなり幅が広くなっています。
例えば、三輪休雪の作品であっても真贋が未判定の場合は数万円、人間国宝に認定された10代目や11代目の作品であれば数十万から百万円程度までが期待できます。
まとめ
萩焼の価値を正しく判断するには、状態の良し悪しを判断する能力だけではなく、窯元や作家、相場に関する知識も必要です。萩焼を売却するときは経験と実績豊富な業者を選ぶとよいでしょう。