くらわんか碗とは?相場はどれくらいで、日常でも使える?
くらわんか碗についてご説明します。
庶民の生活雑器
くらわんか椀は江戸時代にから使われるようになった庶民の生活雑器で、長崎の「波佐見焼」、愛媛の「砥部焼」、大阪の「古曽部焼」など、厚手で丈夫な陶磁器がくらわんか椀として使われました。
ごはんや汁物、おかずを盛り付けるだけではなく、時には盃のように使われることもあったくらわんか椀とは、どのような品なのでしょうか。
くらわんか椀の特徴と相場
くらわんか椀という呼び名は産地などとは関係なく、「くらわんか舟」が使用していたことにちなんだ名前です。
くらわんか舟は、大阪の淀川を往来する大型船の乗船客向けにお総菜などの飲食物を売っていた小舟のことで、公式には「茶船」と呼ばれていましたが「食べないのか」の方言である「くらわんか」という言葉から「くらわんか舟」という俗称が定着しました。
くらわんか舟は船上に火床を置いて調理を行い、作った料理を「くらわんか椀」に盛って販売するというスタイルを取っていたため、くらわんか椀は揺れる小舟の上でも倒れないよう重心が低く、底がどっしりとした形をしており、万が一倒れても破損しにくいよう丈夫に作られています。
また、器の数で料金を計算する方式であったため、支払いをごまかすために器も投げ捨てる客もいたことから価値の高い器は用いられず、絵付けなどもシンプルなものになっているのが特徴です。
くらわんか椀の相場
くらわんか椀は生活雑器であるため、高い価値がつくことはあまりありません。
ただし、手に馴染みやすい形や素朴な絵付けなどから人気が高く需要が多いほか、製作年代などによっては骨董的価値がついて思わぬ値がつくこともあります。
大きさや状態などによって相場は異なりますが、ネットオークションでは数千円から数万円程度が相場となっています。
日常使いも可能
生活雑器として生まれたくらわんか椀は、現在でも日常用の器として使うことができます。丈夫でシンプルな器であるため手入れが簡単で、現在製造されている一般的な陶磁器と同様に扱うことができます。
まとめ
シンプルな絵付けと手に馴染みやすい形、落ち着きのあるどっしりとしたフォルムが特徴のくらわんか椀は、芸術的・工芸品的な価値はあまり認められないものの、人の生活に寄り添う素朴な器、どんな料理にも合わせやすい器として愛されています。
お手元にくらわんか椀をお持ちの方は、使うための器ならではの「用の美」を目で味わうだけではなく、実際に使ってくらわんか椀の魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。