ギヤマンとは?びいどろ、和ガラスとの違いは何ですか?
ギヤマンについてご説明します。
ポルトガル語が由来
「びいどろ」「ギヤマン」という言葉を聞いたことはありませんか?
これは主に江戸時代のガラス製品を指す言葉で、「びいどろ」はポルトガル語でガラスを意味する「vidro(ヴィドロ)」、ギヤマンはポルトガル語でダイヤモンドを意味する「diamante(ジアマント)」が語源となっています。
ギヤマンとびいどろ、和ガラスはなにが違うのでしょうか。
和ガラスの歴史
日本のガラスは歴史が古く、縄文時代の遺跡から出土したガラスの玉が日本最古のガラス製品であるとみられています。
また、奈良時代の正倉院にも多数のガラス玉が残されていることから、この時代にはガラスの製法が広く知られており、本格的に作られていたことがわかります。
しかし、日本のガラスは中国から伝来したもので、鉛を多く含んでいたことから熱や衝撃に弱いという欠点があり、生活用品としてガラスの器を作ることができませんでした。陶磁器なども発達していたため、ガラスの器にこだわる必要性がなかったという理由もあるのかもしれませんね。
日本にガラスの器が登場したのは1549年にフランシスコ・ザビエルが渡来した以降のことで、大名や権力者への献上品として伝わりました。
さらに時代が下った江戸時代になると、ポルトガルとの交易を通じてヨーロッパガラスの製法が日本に伝わり、これまでの製法では作ることができなかったガラスの器が日本でも作られるようになりました。
この後、明治時代から大正時代に入るとガラス製作は工業化・機械化が進み、原料が鉛ガラスからソーダガラスに変わるなど近代化が進み、現在のガラス産業に発展しました。
和ガラスとびいどろ
和ガラスは日本で作られたガラス全体を指す言葉です。
日本でガラス製品が盛んに作られるようになったのは江戸時代以降ですが、江戸時代から明治時代前期のガラスは鉛ガラスが使われ、明治時代以降は海外から輸入したソーダガラスのくずを再生して作っていたため、同じ「和ガラス」ではあるものの原料が異なります。
「びいどろ」と呼ばれるのは、和ガラスのなかでも江戸時代から明治時代前期に作られた鉛ガラスを原料にしたガラス製品のことです。
ギヤマンとびいどろの違い
ギヤマンは「びいどろ」と同様江戸時代に使われたガラス製品を指す言葉ですが、びいどろがガラス製品全般を指すのに対し、ギヤマンは「カットガラス」を指します。
ギヤマンはポルトガル語でダイヤモンドを意味する「ジアマント」が語源となっていますが、これはガラスをカットするのにダイヤモンドを用いていたためです。
当初、輸入されたガラスの器のことを「ギヤマン」と呼んでいましたが、カットガラスの製法を用いて江戸や薩摩などでカットガラスが作られるようになると、日本製の「江戸切子」や「薩摩切子」などもギヤマンと呼ばれるようになりました。
まとめ
「和ガラス」は日本で作られたガラス全般を指しますが、和ガラスのなかでも江戸時代から明治時代前期に作られた物は「びいどろ」、びいどろと同時代のガラス製品でもヨーロッパから輸入されたガラス製品は「ギヤマン」と呼ばれるが、びいどろのなかでも「切子」はギヤマンとも呼ばれることがあるということですね。