象牙の売買で聞く象牙登録票とは何?登録票が必要なものと必要ないものには何がありますか?
象牙登録票についてご説明します。
そもそも象牙の登録制度とは
象の口から伸びる「象牙」は、美しい外観を持つだけではなく、固すぎず柔らかすぎず加工がしやすいということから、さまざまな工芸品や美術品に加工されており、日本でも奈良時代に輸入されていたほか、鎌倉時代、室町時代、江戸時代にも多くの象牙加工品が作られています。
また、ヨーロッパでも紀元前から象牙の加工品が作られており、古くから世界中の人々に愛されてきました。
古代や中世のころまでは自然死した象の牙を採取していたと考えられていますが、強力な銃火器の発明や狩猟技術が進歩した影響で象が乱獲されるようになり、象は絶滅寸前にまで数が減ってしまいました。
そういった背景を受け、1989年に象牙の国際取引を禁止するワシントン条約が発効され、日本では1993年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称:種の保存法)」が施行されました。
種の保存法により、日本では1993年以降は牙の形をした象牙の売買が原則禁止されますが、1993年以前に国内で取得した象牙は登録申請を行うことで売買や譲渡ができるようになりました。
いうなれば、象牙の登録票は「合法的なルートで入手した象牙」の証明書といえます。
登録が必要な象牙
「象牙」には大きく分けて「全形を保持した(牙の形を残している)象牙」と「加工されて牙の形をしていない象牙」の2種類があります。
このうち、登録の必要があるのは「全形を保持した象牙」で、透かし彫りなどの加工が施されている場合でも、先端がとがった牙の形をしており、全長が20cm以上であれば登録が必要です。
ときどき、押し入れや蔵の中から登録票がついていない象牙が見つかることがありますが、種の保存法施工の1993年以前に購入され、個人で登録申請を行っていない場合は登録票がついていません。
登録票が必要ない象牙
象牙のうち「加工されて牙の形をしていない象牙」、つまり、象牙でできた印鑑や彫刻、三味線のバチや印籠といった加工品は登録票が不要です。
日本国内での売買も規制はなく、手持ちの象牙加工品を骨董品として売却することも可能です。
象牙の登録方法
登録票がついていない象牙は、そのままでは売買することができません。売却を希望する場合は、まず登録票を取得してください。
申請前に確認すること
申請を行う前に以下のことを確認してください。
・本物の象牙であるかどうか
・象牙を取得した時期が「種の保存法」施行前かどうか
・全形を保持しているか
登録申請は一般財団法人自然環境研究センターが受け付けていますが、実物を確認して登録を行うのではなく写真を見て登録を行います。
そのため、本物の象牙ではないセルロイドや人工象牙なども登録を行えてしまうことがあります。登録費用や手間が無駄になってしまいますので、登録申請の前に必ず「象牙であるかどうか」を確認してください。
登録に必要な書類
象牙の登録には以下の書類が必要です。
- 登録申請書
- 申請する象牙の写真
- 取得経緯の自己申告書
- 本人確認可能な書類の写し
- 取得の経緯の裏付けとなる書類(象牙を日本に輸入した場合)
「登録申請書」と「取得経緯の自己申告書」は自然環境研究センターに電話して郵送してもらうか、インターネットサイトからダウンロードすることができます。
まとめ
登録は売買や譲渡に関する制度ですので、売却などはせず手元にずっと置いておくのであれば登録をする必要がないと言えます。
しかし、登録をしていない象牙は売却ができないというだけではなく、非合法な品物ではないかと疑われて不快な思いをする可能性もあります。
登録票がついていない全形を保持した象牙を見つけたときは、できる限り登録を行ったほうがよいでしょう。
また、象牙を加工して使った工芸品は登録の必要もなく、骨董品としてそのまま売却することも可能です。
状態や内容によって思わぬ高値が付くこともありますので、売却を検討している象牙加工品がある場合は弊社にご相談ください。