鍛金(たんきん)とはなんですか?有名な人はどんな人がいますか?
鍛金(たんきん)と、鍛金で有名な人物をご紹介します。
鍛金とは
鍛金とは、金属を金床や烏口などにあて金槌で叩くことで形を変えていく金属工芸の技法で、打ち物、鎚金(ついきん)、鍛冶(かじ)ともいわれます。
金属の棒や塊に熱を加え、叩くことで形を変化させる「鍛造(たんぞう)」、 1枚の板材を当金に乗せて叩き、形を変化させる「絞り加工」、赤熱した状態の金属を打ち付けることで打ち材料同士を圧着させる「鍛接」などの技法が使われます。
素材
金、銀、銅、アルミなどの柔らかい金属は熱を加えない「絞り加工」を用い、鉄などの硬い金属は、熱を加える「鍛造」で加工するというふうに、素材によって技法を使い分けることができる鍛金では、さまざまな金属、合金を扱うことができます。
歴史
金属を叩いて変形させるというシンプルな技法の鍛金は、紀元前4000年より古い時代に歴史を持つといわれており、日本へは、大陸から金属文化が伝わった弥生時代から、銅鏡や鉄剣、甲冑などの製造に使用されています。
仏教が伝来した飛鳥時代以降は仏教美術品、大仏や仏像に用いられ、安土桃山時代ごろからは寺院の建具や装飾品、茶道具、湯釜、江戸時代以降は大衆的な日用品に用いられるなど、時代を経るごとに広がりをみせ、より装飾的な用途に用いられることが多くなりました。
また、明治維新以降は西洋化する生活様式に合った日用品が製造されるようになり、現在でも鍛金で作られた芸術品、日用品は人気を集めています。
鍛金で有名な人物
関谷四郎(せきやしろう)
1907年、秋田市に生まれた関谷四郎は、銀と赤銅、鉄と銅など、異なる金属を鑞付けする接合(はぎあわせ)技法と鍛金だけで、洗練された幾何学模様や豊かな質感を持つ数多くの作品を制作。
1976年に「人間国宝」に認定された、日本金工界に大きな業績を残した作家です。
奥山峰石(おくやまほうせき)
1935年、新庄市に生まれた奥山峰石は、鍛造えの加工が難しい朧銀(ろうぎん)を素材とした花器や、打込象嵌(うちこみぞうがん)、金消(きんけし)などの技法を用いて、ぐい吞みや装飾品などを制作しており、1995年に鍛金の技術で「人間国宝」に認定されています。
田口壽恒(たぐちとしちか)
1940年、東京都で鍛金家の三代目として生まれた田口壽恒は、茶道具、急須、ぐい呑みなどの酒器を作っていた父、田口恒松に師事して鍛金の技術を習得したあと、従来の鍛金では使用されない硬い素材を使用した作品や、金属を薄く延ばさず和えて厚みを残す、槌目の模様をつけないなど、独自の作品を制作。
シンプルでありながら美しいフォルムをもつ作品で多数の賞を受賞し、2006年に「人間国宝」に認定されました。
玉川宣夫(たまがわのりお)
1942年、新潟県に生まれた玉川宣夫は、金属の色の違いを利用して木目状の文様を創り出す「木目金(もくめがね)」の技法をいかした独自の作風が特徴的な花瓶、壺、香炉などを制作し、2010年に「人間国宝」に認定された作家です。
まとめ
古い歴史を持ち、時代とともに用途や技法を広げ、装飾性・芸術性を高めてきた鍛金の作品は、金属が持つ硬さ、シャープさと同時に、独特な柔らかさと優しさを持っており、その不思議な魅力は多くの愛好家を惹きつけています。
もし、お手元にある鍛金を手放したい方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。