掛け軸の正しい取り扱い方法を教えてください。
はい、掛け軸の正しい取り扱い方法をご紹介致します。
掛け軸の取り扱い方法
掛け軸は、表装用布と裏打ち用和紙と本紙で仕立ててあります。そのため、気温・湿度の影響を大変受けやすくなっています。濡れた手で触ってしまうと、シミやツレの原因になりますので、注意しましょう。
掛け軸を床の間などに掛ける際、一緒に花などを置くことが多いのですが、花を置く時に花粉や水滴などが付着しないようにする必要があります。花などを置く場合は、掛け軸のすぐ下に置くのではなく、掛け軸から少し離れた場所に置くようにしましょう。
また、掛け軸を長期に渡って掛けたままにすると、湿気による反りやシミ、日焼けの原因にもなるため、掛け軸を時々撒いて休めることが大切です。
掛け軸のかけ方について
掛け軸をかける時の手順と注意点をご紹介致します。
- 掛け軸を掛ける場所に湿気がないかを確認する。
- 掛け軸を軸箱から出し、畳などに掛け軸を置く。
- 巻緒(掛け軸の外側に撒かれている紐のこと)を外し、掛け軸の上部まで広げ、風帯を下まで伸ばす。※ここで折れ癖がある場合は、なおしておきましょう。
- 矢筈(踏み台を使用せず、掛け軸を掛けるための道具)に掛け緒(掛け軸の上部に付いている紐)をかける。
- 床の釘に掛緒をかけ、軸先をゆっくりしたに下す。
- 掛け軸を掛けたら、少し離れた場所から眺め、左右のバランスを確認する。
※左右のバランスを整えたり、高さを調整します。 - 最後に風鎮(掛け軸の軸先に付ける錘)を掛ける。
掛け軸を掛けるときの注意点
- 万が一のことを想定し、掛け軸を掛ける下には物を置かないようにする。
- 掛け軸を掛ける際に落下させてしまうと、掛け軸に折れが入ってしまうことがある。
- 折れ癖をなおすときは、力を入れすぎないようにしましょう。
掛け軸の外し方について
掛け軸を外す時の手順と注意点をご紹介します。
- 柔らかい羽根ばたきなどで掛け軸に付いているホコリなどの汚れをとる。
- 矢筈を壁に立てかけ、両手で軸先を持ち上部まで両手で巻き上げる。
- 矢筈を使用し、掛け軸をかけ釘から外す。
- 畳などの水平な場所で、風帯を折り目通りにたたむ。
- 両手で掛け軸をゆっくり撒く。
- 掛緒を撒き、柔らかい紙につつむ。
- 最後に軸箱にしまう。
掛け軸を外すときの注意点
- 外すときは、できれば2人で作業を行いましょう。
- 掛け軸を撒くときは、あまり力を入れずゆっくりと巻き取るようにしてください。
- 軸箱にしまうときは、掛け軸の端にある八双が綺麗に収まるように収納しましょう。
まとめ
掛け軸には、様々な表装がされているため、掛ける場所や温度・湿度の変化に大変影響されます。そのため、掛ける場所・取り扱い方がとても重要になります。
昔の日本家屋の場合は、掛け軸を1ヶ月ほど掛けたままでも傷むことはなかったようですが、近年は空調が施された家が多いので乾燥気味の家が増えています。
長期掛け軸を掛けたままにしておくと、掛け軸が傷んでしまいます。掛け軸は、連日掛けたままにせず、時々撒いて休ませましょう。
また、直射日光があたる場所に掛けてしまうと、日焼けやシミなどの原因になります。直射日光が当たらない場所に掛けるようにしてください。風などによって、ひっかかることもあるので掛け軸の下には、なるべく何も置かないことをおすすめします。
高値で買い取ってもらえるように、取り扱い方法を守って、良い状態に保ちましょう。