美濃焼・萩焼など、日本の陶器で高価買取が期待できる種類とは?
美濃焼や萩焼をはじめ、六古窯や京焼など、日本の伝統陶器の中には高価買取が期待できるものが多く存在します。種類ごとの特徴や価値のポイントを解説します。
日本には多くの伝統的なやきものがあり、その中には骨董品として高く評価されるものもあります。骨董品といえば、有田焼や九谷焼などの磁器を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、日本の陶器にも美術品・骨董品として高価買取が期待できるものが数多く存在します。
今回は、美濃焼や萩焼をはじめ、日本各地で作られる高価買取が期待できる陶器について、その特徴や歴史、価値のポイントなどを詳しく解説します。
美濃焼 ― 多彩な表現が生まれる自由なやきもの
美濃焼(みのやき)は、岐阜県東濃地方を中心に生産されるやきものの総称です。長い歴史を持ちながらも、特定の様式や技法に縛られず、時代に合わせて進化し続けてきたのが特徴です。
美濃焼の特徴
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多様なデザインと釉薬
美濃焼は、他の陶器と異なり、一定のスタイルに縛られません。代表的なものには「黄瀬戸(きせと)」「瀬戸黒(せとぐろ)」「志野(しの)」「織部(おりべ)」などがあります。 -
茶道文化との関わり
安土桃山時代には、千利休の茶の湯文化の影響を受け、美濃の陶工たちが創意工夫を凝らした茶器を作り始めました。この時代の作品は「桃山陶(とうざんとう)」と呼ばれ、現在も高い価値を持っています。 -
骨董品としての価値
古い美濃焼、特に安土桃山時代から江戸時代初期に作られたものは高価買取が期待できます。また、有名な陶工が手がけた作品も高値がつきやすい傾向にあります。
萩焼 ― 使うほどに味わいが増す茶陶
萩焼(はぎやき)は、山口県萩市を中心に作られるやきもので、茶道の世界では「一楽二萩三唐津」と称されるほど評価の高い陶器です。
萩焼の特徴
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使い込むほどに風合いが変化する「萩の七化け」
萩焼の最大の魅力は、長く使うことで生まれる「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる細かなひび割れによる色の変化です。使うほどに景色が変わるため、茶人たちに愛されています。 -
柔らかな土味と釉薬の風合い
粘土質の高い萩の土を使用しており、他の陶器にはない温かみのある風合いが特徴です。また、白萩釉や枇杷色釉(びわいろゆう)など独特の釉薬が施され、やわらかい色合いが生まれます。 -
骨董品としての価値
江戸時代に作られた「古萩(こはぎ)」は高価買取が期待できます。また、有名な萩焼の陶工(坂、三輪、林など)の作品も市場価値が高いです。
六古窯 ― 日本に古くから伝わる伝統窯
六古窯(ろっこよう)とは、日本で中世から続く代表的な陶磁器窯のことを指します。骨董品市場においても注目されることが多く、高価買取の可能性があるやきものです。
六古窯の種類
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備前焼(びぜんやき)
- 岡山県備前市で生産される焼締め陶器。釉薬を使用せず、自然釉が生み出す独特の模様が特徴。
- 江戸時代以前の作品は特に高価買取の対象となる。
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信楽焼(しがらきやき)
- 滋賀県信楽町で生産される陶器。狸の置物が有名だが、茶器や壺も高い評価を受ける。
- 特に江戸時代の作品や、人間国宝による作品は価値が高い。
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丹波焼(たんばやき)
- 兵庫県丹波篠山市で作られる陶器。茶器や水指(みずさし)として人気が高い。
- 伝統的な「丹波の登り窯」から生まれる作品は高値がつくことも。
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常滑焼(とこなめやき)
- 愛知県常滑市の陶器。特に朱泥(しゅでい)の急須が有名。
- 名工の手による作品や、古い時代のものは買取価格が高くなる。
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瀬戸焼(せとやき)
- 愛知県瀬戸市の陶器。施釉陶器の代表格。
- 色絵や染付の美しい作品が多く、骨董品としても高評価。
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越前焼(えちぜんやき)
- 福井県越前町の陶器。焼締めの壺や花器が有名。
- 自然釉の景色が美しいものほど評価が高い。
京焼(清水焼) ― 京都の雅なやきもの
京焼(きょうやき)は、京都で作られる陶器の総称で、特定の技法に縛られず、職人の創意工夫が生かされるやきものです。
京焼の特徴
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華やかな色絵
京焼は「色絵」と呼ばれる絵付け技法が発達しており、豪華なデザインが特徴です。 -
個性豊かな作風
決まった様式がないため、作家ごとの個性が光る作品が多く、特に著名な作家の作品は高価買取の対象となります。 -
清水焼(きよみずやき)
京焼の代表格。明治以降、海外向けの製品として発展し、現在も国内外で高い評価を得ている。
高価買取のポイント
骨董品としての陶器を高く売るためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
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産地の特定
- どの産地で作られたものか、裏印(銘)や形状、釉薬の種類を確認する。
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作家の確認
- 著名な陶工の作品である場合、証明書(共箱や箱書き)があるとさらに価値が上がる。
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状態のチェック
- 欠けやひびがないか、釉薬の状態は良いかを確認。
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時代背景の考慮
- 古い時代の作品ほど希少価値が高まり、高価買取の対象になりやすい。
まとめ
日本の陶器には、美濃焼や萩焼をはじめ、六古窯や京焼など、高価買取が期待できるものが数多くあります。特に、歴史ある作品や名工の手がけたものは高値がつく可能性が高いため、売却を検討する際には、しっかりと価値を見極めることが重要です。
もし手元に気になる陶器がある場合は、専門の買取店に相談してみるのも良いでしょう。日本の伝統工芸の価値を次の世代に伝えるためにも、大切なやきものを適切に扱うことが求められます。