重要無形文化財「鉄釉陶器」の保持者で人間国宝の、原清とその作品について。
原清とその作品についてご紹介します。
鉄釉陶器の人間国宝 原清
原清は1936年に現在の島根県出雲市で生まれ、2005年に「鉄絵陶器」の人間国宝に認定された日本を代表する陶芸家です。従来の鉄絵とは異なる独自性の高い作品生み出し、現在は後進の育成にも取り組んでいます。
原清について
原清が生まれた出雲は、江戸明治期に海の大動脈として活躍した「北前船」の寄港地の一つであり、島根で作られた陶器を輸送したり、有田や唐津など他地域の陶磁器が渡ってきたりするなど、陶磁器との関りが深い土地でした。
そのため、幼いころから陶磁器に親しむ機会が多く、陶芸家を志すきっかけになったのも登校中に拾った陶片の美しさに魅せられたからだといわれています。
1954年、高校を卒業した原清は京都に移り、後に鉄釉陶器の人間国宝に認定される石黒宗麿と清水卯一の師事を受け、鉄釉陶器の技法を学びます。
1958年に開催された日本伝統工芸展で初入選を果たしたことをきっかけに陶芸家として世に知られるようになると、1965年に東京に工房を構えて独立。後に埼玉県に窯を移しながら鉄釉の研究に没頭します。
1969年には日本伝統工芸展で日本工芸会会長賞を受賞、1976に年日本陶磁協会賞を受賞するなど華々しい功績を挙げ、2005年に「鉄絵陶器」の人間国宝に認定されました。
原清の作品の特徴
原清の作品は、師である石黒宗麿と清水卯一から受け継いだ技法を活かしながらも、黒色と褐色の二種類の釉薬を駆使して文様を大柄かつシンプルに描かれていることが特徴です。草原をかける馬や風に揺らぐ花など、自然の風景が自由でのびやかに描かれています。大胆でありながらも洗練された構図、気品と落ち着きのある佇まいなど、その独自性は多くの人をひきつけ、これまでにはない新しい鉄釉陶器として高く評価されています。
まとめ
原清の作品は伊勢神宮の神宮美術館のほか、各地の美術館で行われる企画展などで鑑賞できます。人間国宝に認定された鉄絵陶器のほかに青磁の作品などもありますので、機会があれば鑑賞してみてはいかがでしょうか。
また、原清は現代の作家であるため骨董的な価値などは付きませんが、高い技術で作られた人間国宝の作品は人気が高く、高価買取が期待できる品です。