種類豊富で小さく、可愛らしい故にコレクターも多い油壷とは?
コレクターに人気の油壷についてご紹介します。
手のひらサイズの小さな壷
油壷は手のひらに乗る程度の小さな壷で、髪につける油を入れる容器として使われていました。髪に油をつけて艶を出したり、形を整えたり、汚れを取ったりする文化は鎌倉時代からで、油壷が誕生したのは室町時代からといわれています。
今回は、コレクターにも人気がある油壷について紹介します。
江戸時代に流行
髪に油をつける文化は鎌倉時代からありましたが、当時は一般的に浸透しておらず、室町時代ごろから使われ始めた油壷もあまり普及していなかったようです。
しかし、江戸時代に入ると男女共におしゃれを楽しむ風潮が広まり、女性の化粧品として髪結い油が浸透。油壷も女性の必需品として広まっていきました。
また、時代が下って工芸技術が発達すると、油壷も鏡台を飾るのにふさわしい美しさを備えるようになり、鮮やかな色絵が施された油壷も登場します。
明治維新以降、日本人が日本髪を結わなくなったこと、ガラス瓶が普及し始めたことから油壷は徐々に使われなくなり、大正時代ごろに姿を消しました。
現在はその可愛らしさや美しさから工芸品として愛でられるだけではなく、一輪挿しとして使われることもあります。
油壷の特徴
油壷は高さ直径共に10cmほどで、一般的には丸い形をしています。中に入れる油は「水油」と呼ばれる椿油や胡桃油、菜種油のほか、胡麻油に白檀や丁子の香りをつけた「匂い油」など、粘りが少なくサラサラとした油が入れられていたため、壷の口は小さくすぼまっています。
現存する油壷は古伊万里が多いのですが、各地の窯で作られていたため備前や九谷、唐津の油壷などもあります。絵付けなどが施されていない油壷、一色だけでシンプルに絵付けされた油壷、赤・青・緑などで華やかに彩られた油壷など種類が豊富で、時代や産地ごとの特徴を感じることができます。
高価買取が期待できる条件
油壷は小さな品であるため相場は数千円から数万円程度とそれほど高くありませんが、江戸時代の品や銘入りの品、工芸品として優れた品は価値がつきやすく高価買取を期待できます。
また、角型や八角形など変わった形の油壷や、高麗青磁、李朝といった朝鮮半島の油壷など、珍しい品は高い価値がつく可能性があります。
状態のよさも重要なポイントです。実用品であるため多少の傷や汚れはあまり問題視されませんが、大きなヒビや割れ、欠け、目立つシミなどがあると査定額が下がってしまいます。
また、一輪挿しとして使うこともあるため、穴が開いているなど実用できない状態の品は買取不可となることがあります。
まとめ
色や柄の種類が豊富で、小さく可愛らしい油壷は比較的安く手に入れられることからコレクションしやすい品です。遺品整理や蔵の整理の際に出てくることも多いので、もし油壷が見つかったら花器や飾りとして使ってみてはいかがでしょうか。
また、売却や処分を検討する場合は、ぜひ一度、弊社にご相談ください。