お箸で有名な福井の若狭塗とは?高価買取が期待できる条件には何がある?
高価買取が期待できる若狭塗の条件をご紹介します。
箸で有名な若狭塗
若狭塗は福井県小浜市で生産される漆器のことです。若狭塗の塗り箸の国内シェアは80%、NHKの朝ドラ「ちりとてちん」では主人公の実家が伝統的な若狭塗箸職人の家に設定されるなど箸のイメージが強い若狭塗ですが、箸のほかにも汁椀や盆、茶道具などさまざまな品が作られています。
今回は、若狭塗の特徴や高価買取が期待できる若狭塗の条件をご紹介します。
若狭塗の歴史と特徴
若狭塗は江戸時代初期に小浜藩の漆塗り職人 松浦三十郎が中国から伝わった漆器を参考にして若狭湾の海底の模様をデザインした漆器を作ったことが始まりだといわれています。
松浦三十郎が創り出した原型はさらに発展・改良され、現在も伝統技法として残っている「菊塵塗(きくじんぬり)」や「磯草塗(いそくさぬり)」が誕生。この技法が生まれたことにより、当時の小浜藩藩主が「若狭塗」と名づけ、足軽の内職として保護・奨励したり、藩の中心的な産業として推進したりしたことで、多くの優れた職人が輩出しました。
江戸時代中期から後期にかけて最盛期を迎えた後、明治期には地域の特産品として人気を集めた若狭塗の特徴は、卵の殻や貝殻、マツの葉などで模様を作って漆を塗り重ねて研ぐ「研ぎ出し技法」によって生み出される独特の模様と風格です。
60以上に及ぶ工程のうち、最初の木地作り以外は一人の職人が手掛けることも大きな特徴で、同じモチーフと技法を使った品でも職人ごとの特徴を味わうことができます。
なお、茶道具のなかには「若狭盆」という盆がありますが、若狭盆は若狭の浜に漂着した唐物の盆やそれに類似した盆のことで、若狭塗の盆のことではありません。混同しやすいため注意が必要です。
高価買取が期待できる条件
若狭塗はその独特な風格と重厚感から美術品として珍重される一方、水や熱に強いことから日用品としても普及しているため、買取価格の幅が広くなっています。
高価買取を期待できる条件としては、
- 江戸期、明治期などに作られた年代物であること
- 「卵殻模様」「貝殻模様」「起こし模様」といった若狭塗の特徴である模様が美しく美術工芸品としての価値が高いこと
- 重箱や汁椀のセットなどは内容がすべてそろっていること
- 箱などの付属品があること
が挙げられます。
また、漆の剥がれや浮き、キズなどがないことも重要です。ある程度の経年劣化は問題視されませんが、美観を大きく損ねるダメージは査定額ダウンの原因となります。
まとめ
1978年に伝統工芸品に指定され、オバマ大統領を始めとした多くの著名人に贈呈された若狭塗は、伝統を守りながらも時代に合わせて進化し続けている日本の代表的漆器です。
日常使いに適した手頃な品から美術的価値の高い品まであるので、福井県を訪れた時は若狭塗に注目してみてはいかがでしょうか。