評価先が違う?国宝、重要文化財、特別重要刀剣、重要刀剣など、刀剣の鑑定区分について教えてください。
刀剣の鑑定区分についてご説明します。
刀剣の鑑定区分は複雑
刀剣には国宝、重要文化財、特別重要刀剣、重要刀剣などさまざまな鑑定区分があります。価値が最も高いのは「国宝」だろうということは想像がつきますが、そのほかの区分はどのような意味があるか、どのような価値があるのかわかりにくいと感じるのではないでしょうか。今回は、刀剣の鑑定区分についてご説明します。
刀剣の鑑定区分は一つではない
刀剣を所有するためには「銃砲刀剣類登録証」が必要ですが、この登録証は各都道府県の教育委員会によって発行されています。そのため、刀剣の鑑定は教育委員会などの行政機関が行っているというイメージがあります。
実際、刀剣類を含んだ文化的・歴史的な価値のある品々を鑑定し、「国宝」「重要文化財」などの認定を行っているのは国ですので、「刀剣の鑑定を行っているのは行政」という考えは間違いではありません。
しかし実は、刀剣の鑑定を行っているのは国だけではなく、財団法人など複数の団体も独自の鑑定基準で鑑定を行っています。
中でももっとも権威があるといわれているのが、公益財団法人「日本美術刀剣保存協会」による鑑定です。
刀剣の鑑定区分を言い表すときは、主に「国による区分」か「日本美術刀剣保存協会による区分」で言い表されています。
国による区分
国による区分は「文化財保護法」に照らし合わせて、文化財の重要度を考慮して付けられる「国宝」「重要文化財」があります。
国宝や重要文化財に指定されるのは、文化財として価値が高く保護する必要があると判断された場合だけで、「年代が古い」「美術的・工芸的に優れている」というだけでは指定されません。
また、文化財保護法は「文化財の保護」を目的としているため、国宝や重要文化財に指定された刀剣の所有者には保護義務」が課せられます。壊したり無くしたりしないよう管理しなくてはならない、輸出してはいけない、譲渡などの際は届け出が必要など、さまざまな制限を受け、違反したときは罰則を受けることがあります。
日本美術刀剣保存協会による区分
「特別重要」「重要」「特別保存」「保存」という区分は日本美術刀剣保存協会による区分で、制作時代や銘、美しさなど同協会独自の基準によって鑑定、指定されます。もっとも価値が高いのは「特別重要」で、ついで「重要」「特別保存」「保存」という順になります。
文化財の保護を主な目的としているわけではないため、国宝や重要文化財などに当てはまらない刀剣でも「特別重要」や「重要」に区分されることがあります。
また、どの区分に分類されても法的な義務が課せられるわけではないため、輸出や売買などの規制も受けません。
まとめ
刀剣の鑑定区分のうち、「国宝」「重要文化財」は国による区分、「特別重要」「重要」「特別保存」「保存」は日本美術刀剣保存協会による区分という違いがあります。それぞれ認定を行う機関が異なるため、「特別重要」と「重要文化財」の両方に区分されることがあります。
「特別重要」の刀剣は売買などの規制対象ではありませんが、「重要文化財」はさまざまな規制の対象となりますので、取り扱いには注意が必要です。