陶磁器の虫喰いとは?また、虫食いで価値は下がる?上がる?
陶磁器の虫食いについてご紹介します。
陶磁器の虫食いとは
陶磁器は衝撃に弱いだけではなく、経年で色や形が微妙に変化するという特徴があります。そのため、古い時代に作られた陶磁器には使用によってできた傷だけではなく、時間や環境の変化によって傷ができることもあります。
陶磁器の傷は状態によって「カケ」「そげ」「ハゲ」などと呼ばれますが、茶碗の縁などにできる穴のような傷を「虫食い」と呼びます。
手持ちの茶碗や皿などの陶磁器に「虫食い」があった場合、陶磁器の価値は下がってしまうのでしょうか。
傷として扱われないことが多い
「虫食い」というと衣類や紙、木材などをイメージしますが、これらの虫食いが実際の虫による被害であるのに対し、陶磁器の「虫食い」は虫が作るものではありません。
陶磁器の虫食いは器本体を作っている「胎土」と、その上にかけられた「釉薬」の収縮率の違いによって起こるものです。
胎土は水分を多く含んでいるため収縮率が大きい反面、ガラス質の釉薬はあまり収縮しません。そのため、胎土が収縮すると釉薬に負担がかかり、縮れてうろこ状のになったり、一部が剥がれ落ちたり、釉薬にヒビが入ったりします。縮れてうろこ状になった場合は「カイラギ」といい、剥がれた場合は「虫食い」、ヒビの場合は「時間が経つとできる貫入」ということで「時貫(じがん)」と呼びます。縁の部分は他の部分比べると釉薬が薄いため剥がれ落ちやすく、虫食いができるのも縁などの部分です。
通常の傷とは異なり、経年によって起こる虫食いは器が持つ風情であり、茶人からは「景色」として鑑賞の対象とされてきました。このことから一般的には傷として扱われず、場合によっては「趣がある」と評価されることもあります。
虫食いが多すぎると価値は下がる
一般的には傷として扱われず、場合によっては趣があると評価されてることもある虫食いですが、虫食いが多すぎると価値は下がってしまいます。
しかし、虫食いがどの程度価値に影響するかは判断が難しいため、虫食いがある、虫食いが多いから価値がないものと判断して処分しないようにしましょう。
まとめ
陶磁器の虫食いは価値に影響しない場合と影響する場合があり、価値が上がるか下がるかを一概にいうことはできません。ただし、一般的には傷として扱われないため、基本的には虫食いがあっても価値は下がらないといえるでしょう。
しかし、陶磁器の知識が不足している業者の場合、虫食いもカケやハゲといった傷と同様に扱い低い価値をつけられることがありますので、虫食いのある陶磁器を売却するときは経験豊富な業者を選ぶことが重要となります。
お手元に売却を検討している陶磁器をお持ちの方は、弊社に一度ご相談ください。