湯通しや保管方法など、茶碗の扱い方について教えてください。
茶碗の扱い方をご紹介します。
取り扱いが難しい茶碗
茶道具には様々な種類がありますが、直接口をつける茶碗は最も汚れやすいだけではなく、土でできているため保管状態が悪いとカビが生えることもあります。
また、落とすと割れたり欠けたりすることもあるため、注意して取り扱わなくてはなりません。茶碗を長く大切に使うためには、どのように扱えばよいのでしょうか。
使用前と使用後の扱い方
新しく茶碗を購入した時は使用前に「湯通し」を行います。
茶碗の表面を水で洗い流したあと鍋に入れ、被る程度の水を入れた後30分ほど煮沸し、火を止めたらそのまま自然に冷めるのを待ちます。
強火で煮沸を行うと鍋の中で茶碗が動いて傷や破損の原因となるので中火程度にとどめておきましょう。
湯が冷めたら茶碗を取り出して柔らかい布で拭き、最低5日かけてしっかり乾燥させてから収納してください。
点前に使用するときは、事前にぬるま湯、または水に数時間浸けて茶碗に水を含ませておきます。
これはお茶を点てるためにお湯を入れた時に茶碗が破損するのことを防ぐだけではなく、表面についた汚れが染み込むのを防ぐ役割があります。釉薬がついていない高台部分は汚れがつきやすく染み込みやすいので、しっかり水分を含ませておきましょう。
使用後はぬるま湯や水の中に茶碗をつけててや柔らかい布で丁寧に洗います。硬いスポンジやタワシは茶碗を傷めるので使用しないでください。
茶溜まり、口造り、高台などは特に丁寧に洗いましょう。口紅などがついていることもあるので口造りには特に注意が必要です。
洗った後は柔らかい布で拭き、5日以上しっかり乾燥させてから箱に入れて保管してください。
シミ汚れや破損などへの対応
シミ汚れは食器用の塩素系漂白剤に浸けおきすることで取ることができます。漂白剤にを使ったあとはしっかりとすすぎ、漂白剤が残らないよう注意してください。
塩素系漂白剤は器を傷めてしまいます。普段から丁寧に洗い、使用しなくてもよいようにしましょう。
落下などでヒビが入った茶碗はそのまま使用すると使用中に割れる可能性が合うので危険です。使用するのは避け、購入店などに相談するとよいでしょう。
また、割れた時や欠けた時は「金継ぎ」という方法で修理することができます。
接着剤などで補修することもできますが、自己修復は失敗する可能性があります。できるだけ専門家に依頼するようにしましょう。
種類によって異なる扱い方
茶碗には「磁器」と「陶器」があり、同じ種類であっても産地によってそれぞれ異なる特徴があります。
例えば、陶器は磁器よりも水分を含みやすいため湯通し後や使用後の乾燥をしっかり行わないと生乾きとなりカビが生えやすいという特徴があります。磁器よりも柔らかいので重ねて保管すると変形することがあるのも注意したいポイントです。
さらに、楽焼に代表される軟質陶器(低温で焼かれた陶器)は煮沸したり長時間水につけたりすると脆くなるため、湯通しは行わず、使用前の浸水時間も長くなりすぎないよう注意が必要です。
まとめ
慣れていないと難しいと感じることもある茶碗の取り扱いですが、もっとも重要なのは「しっかり乾燥させた状態で保管すること」です。多少のシミや変色は「器の味」として考えることができますが、カビが生えた茶碗は破棄するしかありません。
できるだけ長く、美しい状態で茶碗を使うためにも、茶碗に合った方法で取り扱うようにしましょう。