香合の有名な作家や作品には何がある?香合収集の魅力は?
香合の有名な作家や作品と香合収集の魅力をご紹介します。
香合とは
香合は香を収納する蓋つきの容器のことです。茶の湯では、茶事を行う際に香を焚いて空気を清めますが、この時に利用する香を入れておくのが香合です。
茶の湯で使われる香合は季節によって素材が変わり、11月~4月は陶磁器、5月~10月は木製、竹製、漆器などの香合を用います。ハマグリやツキヒガイの香合は季節に関係なく使用できます。
また、香合は茶の湯だけではなく、仏具としても使用されます。葬儀などの際に用いる焼香、粉状のお香である抹香、火にくべるのではなく手肌に塗って身を清めるのに使う塗香などを携帯・収納するときに用います。
香合の種類と特徴
茶会における香合は、炭点前で使用する香を入れるというだけではなく、掛け軸のように飾って茶室を彩るという役割も持ちます。そのため、香合は茶席の趣旨や季節に合った形をしていたり、美しい絵付けなどが施されていたりします。
【陶器製】
陶器製の香合の魅力はなんといっても形です。シンプルな丸や角といった形から、ミカンや柿、栗といった植物や食べ物をモチーフとしたもの、カメ、サル、魚、鳥などの動物を模したもの、狛犬や獅子、七福神、鬼などユニークな香合もあります。
また、シンプルな形状の香合は絵付けも見どころの一つです。手のひらに乗る程度の小さな香合に描かれた絵の繊細さはまさに見事というほかありません。
【漆器製】
漆器製の香合は形や塗り、蒔絵や螺鈿、堆朱など様々な魅力にあふれています。小さな香合に施された様々な細工は日本の工芸技術の粋であり、美意識の結晶でもあります。
【木製】
木製の香合は動物などのモチーフのほか、「守り仏像」「懐中仏像」などと呼ばれる小さな仏像が彫られた香合も多く、わずか数センチの仏像の衣のヒダや、口を開けて笑う七福神の歯など、細部まで彫りこまれた木製香合は、陶器や漆器とは一味違う趣があります。
香合収集の魅力
香合には様々な素材、形、色がありますが、それぞれ異なる魅力を備えており、どれだけ集めても飽きることがありません。
また、香合は茶碗などに比べると小さいためコレクションしやすく、棚などのちょっとしたスペースに飾って楽しむことができます。
有名な作家や作品
香合は様々な陶芸家や漆芸家などによって作られていますが、有名な作家としては千家十職の一つである土風炉師の永楽家が挙げられます。
また、作品としては、江戸時代末期に作られた「形物香合番付表」で東西大関に選出された「交趾の大亀」、「染付の辻堂」が有名です。
まとめ
小さな世界に技術と美意識が凝縮された香合は、日本を代表する美術工芸品として国内はもちろん海外でも高く評価されており、世界中にコレクターが存在しています。近年は日本だけではなく中国の香合にも注目が集まっており、香合収集は今後も盛り上がりをみせることが予想されます。