寿山石とは何ですか?どんな種類がありますか?
寿山石とその種類をご紹介します。
寿山石(じゅざんせき)とは
近年、印鑑といえばアクリルや木を素材として使うことが多くなりましたが、古い時代では石が素材として多く使われており、特に中国では石に「篆刻(てんこく)」を施した印章が古くから使われてきました。
寿山石は篆刻に使われる石材の一つで、「葉ロウ石(ようろうせき)」と呼ばれるロウ状の柔らかい鉱物を主成分とした石です。
本来、寿山石という名称は中国福建省で産出されたものを指しますが、近年では「葉ロウ石を主成分とした見た目が美しい石」を寿山石と呼び、その色や模様などの違いでさまざまな種類に分類しています。
田黄(でんおう)
「石印材の王」とも呼ばれる田黄は、福建省にある寿山郷のなかでも「田黄坂」やその近辺でのみ採取できる石です。
名前の通り黄色い色をしており、その色合いの濃さや蘿蔔紋(らふくもん)と呼ばれる模様の状態、透明感などから「枇杷黄」「金銀田」「鶏油黄」などの名前が付けられています。
なお、田黄には多くの偽物が存在し、他の黄色い石のうち質のよいものを田黄として扱っている悪質な業者も存在します。
田白
黄色がかった白色で、田黄に比べて希少性が高い石です。
田黒
どんよりとした墨黒で、田黄、田白よりも希少性が高く、非常に珍しい石です。
魚脳凍
微青白色をした半透明の石で、中に小波状の斑紋がある。
寿山石同様、印材に使われる中国浙江省で産出される青田石にも同名の石があるほか、硯(すずり)の素材に使われる「端渓石(たんけいせき)」のうち、白い模様が入った石を「魚脳凍」と呼びます。
天藍凍
青藍、微灰藍、微黄藍、微藍黄で、必ず藍色が入った色合いと半透明な石質、中に棉花紋(めんかもん)と呼ばれる模様が入っていることが特徴です。
牛角凍
白灰、淡灰、濃灰、藍灰、紅灰など、必ず灰色が入る微透明または半透明の意思です。
少し白味を帯びたものに上質が多いという特徴があります。
産地ごとの種類
寿山石は色や模様などだけではなく、どの山脈で産出されたかによって「高山系」「旗山系」「月洋山系」と分けられています。
また、さらに細かく「田石」「水坑石」「山坑石」「旗山石」「月洋石」に分けられており、なかでも田石は山を掘って採取するのではなく、水田のなかで採取できるという特徴を持っています。
まとめ
寿山石の種類は非常に多く、100種類以上存在するといわれています。
印材だけではなく、彫刻の素材として使われるほか、災難から身を守ってくれる魔除けとしても身に付けられてきました。
寿山石で作られた印章、彫刻は高い価値がつくものも多く、非常に高い人気を集めています。