根付とは何ですか?また有名な根付師にはどんな人がいますか?
根付と有名な根付師について紹介します。
海外でも人気の根付
根付は、ポケットがついていない和服を着たときに薬、お金、煙草などの小物を携帯するための入れ物をにつける紐付きの飾りのことです。
現在で言うと携帯電話のストラップのような形をしており、ストラップのマスコット部分をベルトに引っ掛け、腰から携帯電話をぶら下げるようなイメージで使用していました。
根付が使われるようになったのは江戸時代のころ。薬愛用家だった徳川家康が各大名や旗本に頭痛薬などの常備薬を携帯することを奨励したことから、常備薬を携帯するための印籠が普及しはじめ、印籠に取りつける根付が開発されました。
その後、印籠と値付けは武士だけではなく町人、商人、茶人にも普及し、日用品としてだけではなくファッション小物として芸術性を高めていきました。
しかし、明治時代に洋装が流行したことから根付は姿を消していき、江戸時代に作られた根付の多くは「日本の土産物」として流出してしまいました。
現在、根付は日本独特の文化として海外でも認められており、「NETSUKE」として愛されています。
根付の素材と題材
根付の素材は、象牙、鹿角のほか、黒檀や紫檀といった木材がポピュラーですが、焼物やガラスなどのほか、珍しいものでは珊瑚や琥珀などが使われた根付もあり、多種多様な動植物素材が根付の制作に利用されました。
また、モチーフも様々で十二支や麒麟、鳳凰などの動物、七福神や達磨といった神仏、河童や天狗などの妖怪といったユーモラスなモチーフから、中国や日本の古典に基づいた優美なモチーフまで多岐にわたっています。
根付の種類
根付は形によっていくつかの種類に分けることができます。
- 形彫根付(かたぼりねつけ)…人物、動植物などのモチーフがそのままついた根付
- 面根付(めんねつけ)… 能狂言、伎楽などに使われた面がモチーフの根付
- 饅頭根付(まんじゅうねつけ)…饅頭のように平らな円形のモチーフがついた根付
- 鏡蓋根付(かがみぶたねつけ)… 中が空洞のボウル状に蓋が付いた平らな根付
- 柳左根付(りゅうさねつけ)… 挽物の技工で制作された香合のような形状の根付
- 差し根付(さしねつけ)… 帯や袴紐の間に挿して使う、平らな「かんざし」のような形状の根付
- 灰皿根付(はいざらねつけ)…煙管の灰をおとす機能的な根付。火叩根付(ひはたきねつけ)ともいう
- 箱根付(はこねつけ)… 本体と蓋が分かれた根付
有名な根付師
明治時代に根付文化が廃れたことで職人の数は激減してしまいましたが、完全に途絶えてしまったというわけではなく、江戸時代から伝統を伝えてきた職人もいます。
また、江戸時代の「古根付」に魅了され、独自に根付を作るようになった現代作家や、海外の作家も存在します。
現代作家で有名な根付師は、増田秀司(ますだひでじ)、谷口珠峯(たにぐちしゅほう)、河原明秀(かわはら めいしゅう)、桜井英之(さくらいひでゆき)、櫻井廣明(さくらいこうめい)、桜井広晴(さくらいこうせい)などがいます。
まとめ
小さな飾りでありながら精緻な細工が施された根付は、まさに日本の技術の結晶ともいうべき存在です。
とくに江戸時代に制作された「古根付」は当時の人々が持つユーモアや粋を感じることができる奥深さから、多くの人の心をとらえて離しません。
古い作品の多くは海外に流出してしまったため、目にすることが難しくなってしまいましたが、現代作家が作った根付は美術館や作品展で見ることができますので、ぜひ一度鑑賞してください。