茶碗の種類にはどのようなものがありますか?
茶碗の種類にはどのようなものがあるかをご紹介します。
茶碗の分類
茶碗の分類は、大きく分けて素材や製法による分類と、産地による分類の二通りがありますが、今回は産地による分類をご紹介します。
茶碗は、茶器の一つとして茶の湯とともに発展し、日本各地の地域で作られるようになったほか、中国大陸や朝鮮半島から輸入されました。
そのため、茶碗を産地で分けると、中国大陸由来の「唐物」、朝鮮半島由来の「高麗物」、日本国内で作られた「和物」に分けることができます。
唐物
天目茶碗
天目釉と呼ばれる鉄釉をかけて焼かれた陶器製の茶碗で、現在の福建省や江西省作られた茶碗が有名です。
主に「曜変天目」(ようへんてんもく)、「油滴天目」(ゆてきてんもく)、「灰被天目」(はいかつぎてんもく)、「禾目天目」(のぎめてんもく)、「木葉天目」(このはてんもく)、「文字天目」(もじてんもく)、「鸞天目」(らんてんもく)とがあり、中でも「曜変天目」は最上級と言われています。
青磁茶碗
紀元前14世紀頃の中国が起源とされる青磁釉(せいじゆう)を施した磁器で、中国南宋窯の青磁や、中国同安窯系「珠光(じゅこう)青磁」が有名です。
高麗物
井戸茶碗
韓国李朝時代に製作された茶碗で、枇杷色の長石釉である「枇杷釉」、台の側面に竹の節のような段差がある「竹の節高台」、「かいらぎ」と呼ばれる高台付近に焼き付けられた粒状、縮れ状の焼き物という3つの特徴を持っています。
三島茶碗
朝鮮王朝時代、「粉青沙器(ふんせいさき)」と呼ばれる鉄分の多い陶土に白土釉で化粧掛けと透明釉を掛けた技法で造られる茶碗で、印花文、掻落し、鉄絵、象嵌(ぞうがん)などの装飾が施されている作品が多いことが特徴です。
和物
楽焼
ろくろを使わず、手やへらだけで作る「手捏ね(てづくね)」で成形し、低い火力で焼いた陶器で、天正年間に京都の長次郎が千利休の指導で作り始めた焼き物です。
釉薬や土の色によって色が異なる、赤楽・黒楽・白楽などがあり、創始者である「楽家」が作った本窯の楽焼と、楽焼と同じ製法で作った脇窯の楽焼があります。
萩焼
山口県萩市一帯で焼かれる萩焼は、原料の土と、土に混ぜる釉薬の具合によって生まれる、ひび割れのような「貫入」と、使い込むうちにお茶が貫入に浸透することで独特の風合いに変化する「七化け」が特徴です。
唐津焼
現在の佐賀県東部、長崎県北部で作られた焼き物で、李氏朝鮮から伝わったとされる伝統的な技法を施した後、1300度の高温で製造します。
時代によってさまざまな焼き物が作られ、花鳥、草木を描いた「絵唐津」、李氏朝鮮の陶工から伝わった伝統的なスタイルの「朝鮮唐津」、朝鮮の陶器である三島の技法を日本風にアレンジした「三島唐津」など、名品も数多く残されています。
まとめ
和物の茶碗には、このほかにも「備前」「志乃」「織部」「信楽」などがあり、種類や時代ごとに異なった特徴と味わいを持っています。
お手元にある茶碗の歴史や産地を知ることができたら、その魅力をより深く感じることができるかもしれません。