茶道で使われる風炉先屏風の役割や使用方法について教えてください。
茶道で使われる風炉先屏風の役割や使用方法についてご説明します。
風炉先屏風の役割・使用方法について
風炉先屏風を役割と使い方をご説明する前に、茶室の間取りについて簡単にご説明します。
茶室の間取りは、基本的に亭主がお茶をたてる「点前座」と、客が座る「客座」、茶席で湯を沸かすために用いる「炉」の3つです。
「点前座」の大きさは、畳一畳の大きさの丸畳(まるだたみ)か、畳一畳の四分の三の長さの台目畳(だいめだたみ)と決められており、この点前座の畳うち点前を行う半分を「点前畳(てまえだたみ)」、点前のための道具を置く半分を「道具畳」と呼びます。
風炉先屏風を設置する場所
一般的な「四畳半切」と言われる茶室では、茶室の中央に敷いてある半畳の部分に炉が置かれ、点前座と客座が炉を挟んで向かい合わせになっています。
点前座のうち炉に近い所が「点前畳」、炉から遠い所が「道具畳」です。
客座から見ると、ちょうど炉の向こう側の右端が「道具畳」になります。
風炉先屏風は、道具畳の奥つまり「道具の後ろ」に置きます。
風炉先屏風の役割
風炉先屏風には、背景として道具を引き立てるという意味合いの他、風よけや部屋を仕切ることで空間を引き締めるという役割があります。
装飾的な役割を持ってはいるものの、あくまでも道具の背景です。そのため、あまり凝った細工はされていないのがほとんどです。
基本的な風炉先屏風は「利休形」と呼ばれ、鳥の子の白張りで、四方に蠟色塗の縁が付いたシンプルな屏風です。
風炉先屏風の使用方法
風炉先屏風は「茶室には必ず置く必要がある」というわけではありません。
茶室の広さ
茶室は、四畳半以上の広さがあるときは「広間」、四畳半未満のときは「小間」と呼ばれます。
風炉先屏風が使われるのは、広間の場合だけで、小間では基本的に使用しません。
点前座と襖や障子の位置関係
点前座と襖、障子が隣接していると、襖や障子を開け閉めしたときに入った風で、道具が倒れてしまう可能性があります。
そのため、点前座と襖や障子が隣接している場合は、風よけや道具の保護のために風炉先屏風を置く必要があります。
逆を言うと、点前座が壁に囲まれている場合は、風よけをする必要がないため、風炉先屏風を置く必要はないということになります。
風炉先窓の有無
風炉先窓とは、亭主が点前をする際に手元に明かりを取り込むために、点前座の前方につけられた窓のことです。
風炉先屏風を置くと、せっかく取り込んだ光を遮ってしまうので、風炉先窓がある場合は風炉先屏風を置いてはいけません。
まとめ
茶道で使われる風炉先屏風の役割や使用方法についてご説明しました。
風炉先屏風は、茶室の奥に置かれることや道具を引き立てる「背景」のような役割上、他の茶道具に比べると目立たない存在です。
しかし、素材や道具との取り合わせを変えることで、茶室の雰囲気をガラリと変えてしまう風炉先屏風は、茶室の影の立役者とも言えます。
もし、茶会などに足を運ぶ機会があった時は、ぜひ風炉先屏風にも目を向けてみてください。