高値買い取りしてもらえるような彫漆(ちょうしつ)とは、なんですか?
人間国宝の音丸耕堂の作品をはじめ、有名作家の作品は買い取りできる可能性が高いです。
彫漆とは
彫漆では、素地に黒や朱、黄、緑などの色漆を数十回、多いものでは百回以上も塗り重ねて厚い漆の層を作り、この色漆の層を彫ることで、立体感のある模様を作り出す技法です。
漆の色や文様の違いによって、堆朱(ついしゆ)、堆黒、堆黄、屈輪(ぐり)、彫彩漆(紅花緑葉)などの名称で呼ばれます。これらは元来中国で盛んに行われたもので、中国では堆朱を剔紅(てきこう)、堆黒を剔黒、堆黄を剔黄、紅花緑葉を剔彩とも言います。
漆を何度も塗り重ねていきますが、漆を一度に厚く塗りすぎるとしっかりと乾かず表面に縮みができてしまいます。その上に塗り重ねると、剥離する原因になってしまいます。
そのため、100回塗り重ねて、やっと厚さが3ミリになります。
彫漆の作り方
- 彫漆は完成を考えながら色漆をなんども塗り重ねて漆の層を作ります。
- 塗り重ねた色が見えるように工夫しながら模様を彫ります。
- 表面がなめらかになるように細かい砥石で研ぎます。
- 磨いて仕上げます。
鎌倉彫
彫漆に似せるための技法の一つに鎌倉彫というものがあります。
彫漆は冒頭で説明した通り、素地に漆を繰り返し塗り、その漆を彫るものです。
しかし、鎌倉彫の場合は、素地にあらかじめ模様を彫っておき、その上から漆をかける方法をとります。
鎌倉彫は、漆を彫る彫漆の精緻で厳しい作風とは異なる、木彫ならではの風合いが特徴です。彫りの深さの加減や刀を入れる角度の変化など、彫りの技が生むやわらかな立体感が鎌倉彫の魅力です。
音丸耕堂
人間国宝である音丸耕堂についてご紹介します。
音丸耕堂は、昭和30年(57歳)に彫漆の人間国宝として認定されました。
12歳の頃、地元香川県で漆器作りを行っていた石井馨堂に弟子入りし、漆器の基礎や彫漆、堆朱の技法を学びました。
修行後独立した音丸耕堂は、江戸時代に活躍した香川漆器の祖と言われている玉楮象谷の作品に感銘を受けたと言います。
玉楮象谷の作品を模倣し研究を重ね、技術力を上げていき、第5回文展に初出展し特選を受賞します。
さまざまな作品のかたわら、公益信託音丸漆芸研究奨励基金を設立するなど更新の育成に貢献していきました。
音丸耕堂は、彫漆の技法に現代風なデザインを取り入れた作風が特徴です。
色漆に金銀粉を混入して塗り、漆の固まる間に金銀が沈澱して層をつくるのをいかし、文様があらわれるように研ぎ出す技法や、彫り口の傾斜の角度により、重ねた色漆の層の断面を加減して微妙な文様をあらわす技法など、彫漆による多様な表現の可能性を引きだしました。
まとめ
彫漆についてと人間国宝である音丸耕堂についてご紹介しました。
お手元に彫漆がある方は、買取についてはお気軽にご相談ください。