加刷の種類と相場について教えてください。
加刷の種類と相場についてご説明します。
加刷とは
加刷とは、すでに印刷されている印刷物に文字や図案を重ねて印刷することです。切手や官製はがき、収入印紙、紙幣などに対して行われますが、切手に対して行われることが多いことから、加刷された切手のことを「加刷」と呼ぶこともあります。
また、加刷の内容が額面改訂の場合は「添刷」と呼ばれることもあります。
加刷が行われる理由
すでに印刷されている切手などに加刷を行う主な理由は「新規に切手を発行するまでの間に合わせ」「新規発行の手間を減らすため」です。
いずれの場合も加刷を行うのは一時的なことであるため、加刷切手などが流通する期間は比較的短く、通常切手などに比べると希少価値が高くなります。
過去に加刷が行われたケースとしては、インフレなどによる急激な額面変更に合わせた加刷、占領軍が被占領国の切手に自国名などを加刷、すでに流通している切手を流用して記念切手とするための加刷などがあります。また、政権交代などの理由で旧元首の肖像を塗りつぶすために加刷が行われることもあります。
主な加刷切手の種類
日本の加刷切手にはさまざまなものがあります。
【南方占領地切手】
第二次世界大戦て東南アジアを占領した日本軍が現地の切手に加刷を行った切手を南方占領地手と呼びます。香港、フィリピン、ビルマ、インドネシアなどさまざまな地域の多種多様な加刷があることから、南方占領地切手を主に収集しているコレクターも存在します。
【記念切手】
日本では、普通切手に文字と寄付金を加刷して記念切手として発行することが比較的多く行われてきました。
例えば、「シンガポール陥落記念切手」には「シンガポール陥落」という文字と、「+2」や「+1」といった寄付金が加刷されています。
また、1961年に発行した「郵便90年記念切手」は1円の普通切手の色を変更し、額面の1の隣に0、さらに「郵便90年記念」の文字を加刷しています。
【加刷天女航空切手】
戦後、アメリカの統治下にあった沖縄では通貨単位が円からドルに変更されたため、切手の額面も円からドル表記に改訂されました。
1957年に発行された航空切手「凹版天女航空切手」は、通常のものは円で表記されていますが、1958年に通貨単位の変更が行われたため、ドル表記の金額を加刷した「加刷天女航空切手」が発行されています。
加刷切手の相場
加刷切手の相場は切手の額面、希少価値によって変わります。
例えば、比較的発行量が多いシンガポール陥落記念切手は1枚で60~120円程度が相場といわれていますが、加刷天女航空切手は天女航空切手自体の価値がやや高いため、加刷天女航空切手も少し高い価値がつく傾向があります。
未使用の美品や切手シート、複数の額面がそろった状態であるとさらに価値が高くなります。
まとめ
加刷切手は発行された期間が短いため、普通切手よりも高い価値がつく傾向があります。加刷は日本だけではなく、中国やドイツ、北朝鮮なども行っており、品物によっては非常に高い価値がつくこともあります。
ただし、偽物も多く出回っているため、加刷を購入・売却をするときは正しい知識や経験を持った業者と取引することが重要となります。