高麗青磁の韓国人間国宝である、柳海剛(ユ・ヘガン)の作品の特徴と買取相場ついて。
高麗青磁の韓国人間国宝、柳海剛(ユ・ヘガン)の作品の特徴と買取相場ついてご紹介します。
高麗青磁と柳海剛
高麗青磁は918年から1391年まで続いた、韓国の高麗時代に制作された青磁と、20世紀に復活した高麗時代の製法で作られるようになった青磁のことです。
高麗青磁がいつから作られるようになったかははっきりしていませんが、中国から青磁の技術が伝来して本格的に作られるようになったのは、12世紀に入ってからのこと。中国で作られた青磁の影響を受けつつも独自に発展を遂げ、高麗特有の象嵌青磁を施された物が制作されるなど、隆盛を極めていました。
しかし、13世紀以降から徐々に衰退し、14世紀になると粉青沙器の人気が高まったことで高麗青磁は姿を消します。
さらに時が流れて20世紀になると、民芸運動家の柳宗達が高麗青磁の美しさを紹介するなど高麗青磁への注目が高まったことで、失われた高麗青磁の製造技術を復活させようという動きが生まれます。そして、20世紀に高麗青磁を復活させたのが柳海剛です。
柳海剛の生涯
柳海剛は1894年にソウルで生まれました。17歳の時に目にした高麗青磁の美しさに心を奪われて陶芸家を志し、本格的な陶芸の修行に励みながら全国各地の古陶窯地の調査も行い、失われた高麗青磁の製造技術を見事に復活させます。
その後、柳海剛は高麗青磁特有の花鳥や草木をモチーフにした文様を駆使した花瓶、壺、皿、香炉、酒器などを制作。日本の別府市博覧会に出品した青磁が金牌賞を受賞した事で日本でも広く知られるようになったほか、アメリカではカリフォルニア国際博覧会に出品した青磁が金メダルを獲得するなど、世界的に活躍する陶芸家となります。
1964年に韓国利川郡に築窯。1988年に韓国の人間国宝に相当する京畿道無形文化財第3号に指定されました。
韓国唯一の陶磁器美術館「海剛陶磁美術館」を設立して自身の作品や収集品を展示するなど、その生涯を高麗青磁に捧げた陶芸家として評価されています。
作品の特徴
高麗青磁特有の花鳥や草木をモチーフにした文様や二重透かし彫り、陰刻技法
を駆使した柳海剛の作品は、高麗磁器らしい優美さと華やかさ、気品のある佇まいでありながら親しみやすい印象があります。
買取相場
柳海剛の買取相場は作品の大きさや使用されている技法、状態などによって変化します。シンプルな茶碗であれば数千円から一万円程度ですが、二重透かし彫りが施された作品や背の高い花瓶、水差しといった大きな作品はさらに高値になることもあります。
まとめ
高麗青磁で韓国人間国宝となった柳海剛ですが、その息子も「二代目 柳海剛」として高麗青磁を制作しています。初代と二代目では価値が変わりますので、売却の際は柳海剛の高麗青磁に詳しい業者を選ぶことも重要です。