截金(きりかね)の種類・人間国宝にはどのような人がいますか?
截金(きりかね)の種類・人間国宝にはどのような人がいるのかをご説明します。
截金(きりかね)とは
薄い金箔、銀箔、プラチナ箔を焼き合わせて厚みを持たせ、それを細い線状に切った状態のことを截金(きりかね)と言います。
また、この「截金」や「截金」と同じ手法で厚みを持たせ、三角やひし形に切った「截箔」など貼って文様を描く「装飾技法」のことも同じように「截金」と言います。
分かりやすく言うと、これは「折り紙」という言葉が、折るための「紙」を指す場合と「紙を折って何かを作る技法」を指す場合があるのと同じ意味になります。
今回は、伝統技法としての截金についてご説明します。
截金の歴史
截金は、仏教と共に六世紀に伝えられ、仏像、仏画、仏具の装飾に用いられてきました。
しかし、十三世紀頃になると、仏教美術の凋落や金泥技法の出現の影響で衰退し、一時は名前すら忘れられていました。
現在は、一度失われかけた技術が見直され、仏教美術品だけではなく工芸品として利用されることで、少しずつ認知が広がっています。
截金の種類
截金の文様は、自然や動植物を図案化したものを、規則正しく幾何学的に繰り返した文様が多いです。
基本になる文様を変形させ、さまざまな文様を組み合わせるなど、応用パターンもたくさんあります。基本的には、和服の柄と同じ文様です。
自然現象の文様
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霰(あられ):正方形や菱形の截箔を一つ、または四つ集合させ、複数箇所に霰を散らしたかのように施す文様。
- 雲流:雲の輪郭を線で模った文様。
- 青海波(せいがいは):扇状の線が鱗のように重なり合った文様。
- 立涌(たちわく、たてわく):波状の文様を相対的に合わせた文様。文様の間に菱や丸形の截箔を施すことも多い。
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雷文(らいもん):直線を何度も曲折させ渦や山のように似せた文様。
動植物の文様
- 麻の葉(あさのは):正六角形の中に正三角形を六つ並べ、正三角形の中心と三つの頂点を結んだ文様。
- 唐草(からくさ):曲線で表した茎と菱形で表した草の葉を組み合わせ、植物が絡み合う様子を表す文様。
- 草花(くさばな)…花や葉の輪郭と葉脈を細い線状の截金で模る文様。
- 鱗(うろこ)…三角形の截箔と素地の部分が、互い違いに並んだ同じ大きさの三角形になる文様。
- 鳳凰(ほうおう)…中国の伝説上の鳥を図案化した文様。
この他、インドの貴族が数珠や貴金属を編んで製作し身につけていた、装身具を図案化した「瓔珞(ようらく)」や梵語の卍を表現した「卍」など、仏教に由来する文様もあります。
截金の人間国宝
截金の人間国宝(重要無形文化財)は、截金の技の復興に努めた以下3名になります。
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齋田梅亭(さいたばいてい、1900-1981)
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西出大三(にしでだいぞう、1913-1995)
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江里佐代子(えりさよこ、1945-2007)
江里佐代子は、截金の認知度を高め、普及に力を注ぎました。
まとめ
截金の種類と人間国宝にはどのような人がいるのかをご説明しました。
截金は、箔を焼き合わせて切り出し、貼り付けることでさまざまな文様を表現する繊細で高度は技術と、一度失われかけたという歴史を持つことから、截金が施された仏像や仏画、工芸品は希少価値が高いと言えます。
もし、お手元にある截金を売却たいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。