蒟醤(きんま)とはなんですか?買い取ってもらうことはできますか?
タイやミャンマーに伝わるもっとも一般的な漆工芸技法で、買い取りできる可能性は高いです。
蒟醤とは
蒟醤とは、現在では香川漆芸の代表とされています。
タイ、ミャンマーに伝わるもっとも一般的な漆工芸技法です。
この地方の人々は、檳榔樹(びんろうじゅ)の実を薄く切り、鬱金(うこん)の粉や香料と混ぜ合わせ、石灰を塗った蔓草の葉に包んで噛む習慣があります。一種の嗜好品であり、漆の容器に収められました。
日本には室町時代にタイの漆器がもたらされ、そのときに蒟醤という呼び名が定着したと考えられています。タイの蒟醤は、黒漆地に朱で、小さな草花の連続文様や、さまざまな空想獣があらわされています。
蒟醤の技法
漆を塗った地の面に剣と呼ばれる彫刻刀で文様を彫り、その彫り口に色漆を埋め、平らに研ぎ出す技法です。漆の象嵌とも言えます。
彫りには、線彫り、点彫りなどがあり、剣には丸剣、角剣などがあり、形状に合わせて使用します。
漆の面を彫って象嵌する点で沈金と似ていますが、沈金が全ての文様を彫ったうえで、彫り口に金粉や金箔を押し込むのに対し、蒟醤では色に応じて彫り分けを行い、ヘラや筆などで色漆を平らに研ぎ出す点が異なっています。
蒟醤の人間国宝
磯井如真
昭和31年に人間国宝として認定されました。
製法が途絶えていた香川漆器を独自の研究を重ね復興し、近代化を確立しました。また、香川漆器の創始者・玉楮象谷の蒟醤(きんま)の線彫りを点で彫った「点彫り蒟醤」を創案しています。
太田儔
平成6年に人間国宝として認定されました。
竹を編んだ素地に漆を塗り重ね、その漆面に彫刻刀で文様を彫り、色漆を埋めて研ぎだすという伝統技法、「籃胎蒟醤(らんたいきんま)」を研究しています。「布目彫蒟醬」など独自の技法を確立し、漆芸の伝統を受け継ぐとともに新たな領域を開拓しました。
磯井正美
昭和60年に人間国宝として認定されました。
自然をモチーフとして、動植物だけでなく、陽炎や波などのうつろう自然現象も自在に表現する作風です。彫りや塗り、素地についてもさまざまな技法を開発し、蒟醬の世界にこれまでなかった表現をもたらしました。
山下義人
平成25年に人間国宝として認定されました。
自然界に着想を得た個性的なモチーフの作品を制作しています。その作風は、自然の微妙な生動を豊かに表現するものであり、芸術的にすぐれているとして高い評価を得ています。
山下義人の技法の特徴として、幅広い彫りと色埋めを丁寧に繰り返すことにあります。
濃色から淡色までの数十色の色漆を塗り重ねることで、色漆のグラデーションを活かした表現をしています。
まとめ
蒟醤について人間国宝と合わせてご紹介しました。
蒟醤は茶道具や仏具の一種である香合や、茶道具の棗などの装飾に用いられています。
お手元に蒟醤をお持ちの方は、買取についてお気軽にご相談ください。