高く買い取ってもらえる髹漆(きゅうしつ)には、どのような作品がありますか?
人間国宝である赤地友哉・塩多慶四郎・大西勲・増村益城・小森邦衞・増村紀一郎などの作品は、高く買い取れる可能性があります。
人間国宝(6名)をご紹介する前に、髹漆(きゅうしつ)とは何かをご説明します。
髹漆(きゅうしつ)とは
髹漆(きゅうしつ)は、漆塗を主とする漆芸技法です。
素地の材料の選択に始まり、下地工程を経て、上塗・仕上げ工程に至る幅広い領域にわたり、漆芸の根幹をなす重要な技法です。
素地の材料には木材、竹、布、和紙、革等さまざまあり、髹漆(きゅうしつ)は素地を選びません。各材質の特色を生かした作品作りが可能です。
例えば、麻を漆で塗り何枚も重ねて風合いを出す乾漆(かんしつ)という技法や、縄を器の形に巻いて漆で塗り固める、縄胎(じょうたい)という珍しい技法もあります。
素材の特色に合わせて下地、上塗を施します。上塗・仕上げには、塗面を磨かず塗放(ぬりはなし)で仕上げる塗立(ぬりたて)、磨いて光沢を出す呂色塗(ろいろぬり)など多くの種類があります。
髹漆は、最も早く始められた漆芸技法であり、延喜式にその方法が説明されており、奈良時代からあったと言われています。
現在では、立体的な造形と漆の塗肌の味わいや光沢を生かした活発な制作が行われています。
髹漆(きゅうしつ)の人間国宝6名
髹漆(きゅうしつ)の人間国宝は、以下の6名が認定を受けています。
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赤地友哉(あかじ ゆうさい)
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塩多慶四郎(しおだ けいしろう)
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大西勲(おおにし いさお)
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増村益城(ますむら ましき)
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小森邦衞(こもり くにえ)
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増村紀一郎(ますむら きいちろう)
赤地友哉
昭和49年に人間国宝として認められました。
曲輪(まげわ)はヒノキ、アテ、スギなどの柾目の薄板を曲げて円形や楕円形の容器を作る木工技術です。昭和36年作の「曲輪造彩漆鉢」は幅の狭い板を曲げて作った輪を数多く積み重ね鉢形に組み上げて作られたものです。曲輪による多彩なフォルムを作り出すと共に、曲輪をまとめて塗り固める捲胎という新手法を編み出しました。
塩多慶四郎
平成7年に人間国宝として認められました。
昭和39年に勝田静璋について蒔絵を学び始め、第6回石川の伝統工芸展(日本工芸会石川支部の展覧会)に入選し、「乾漆菓子鉢」にて第12回日本伝統工芸展に入選を果たします。
昭和40年に生涯の師となる松田権六と出会い、松田の「塗りと形が良ければ加飾などいらない」との示唆に触発され、漆塗りの持つ本当の美しさを追求することになりました。
また、石川県立輪島漆芸技術研究所主任講師に就任し、後進の指導にも力を入れていました。
大西勲
平成14年に人間国宝として認められました。
鎌倉彫を学んだのちに、昭和49年に赤地友哉に師事し、曲輪造りの髹漆技法を習得しました。檜材の薄い曲輪数十本に布着せと漆下地をほどこし、上塗りのあとに組み立てて造形する作風が特徴です。
増村益城
昭和53年に人間国宝として認められました。
乾漆技法を使用し、複雑な曲線をもつ近代的な形をしています。絵付けをせず、朱色、黒など漆本来の色一色で仕上げる独特の仕上げにより、現代生活に根ざした作風が特徴です。
小森邦衞
平成18年に人間国宝として認められました。
下地から上塗りまですべての工程を行い、漆本来の美しさを追求しています。その技は「籃胎(らんたい)」という細い竹を編みこんだ網代の器に生かされています。表面に凹凸がある為に研ぐことができない網代にも、刷毛目を残さず、なめらかな底艶のある塗りが特徴です。
増村紀一郎
平成20年に人間国宝として認められました。
麻や和紙を漆で塗り重ねて器型を作る乾漆技法で高い評価を得ています。
漆芸家の父・増村益城に乾漆、縄胎などの伝統的な髹漆技能を学びました。平成9年に東京芸術大学の教授に就任し、同年正倉院宝物「御袈裟箱(おんけさのはこ)第1号」の復元模造を行っています。
まとめ
髹漆(きゅうしつ)についてと国宝として認められた方を6名ご紹介しました。
人間国宝の方の作品は、高額な買取が期待できます。
お手元に髹漆をお持ちの方は、買取についてお気軽にご相談ください。