炻器(せっき)とは?特徴・メリット・陶器や磁器との違いを解説!
炻器(せっき)は、英語で stoneware(ストーンウェア) と呼ばれる焼き物で、陶器(土が主な原料)と磁器(石が主な原料)の中間的な性質をもつ器のことを指します。
器は大きく
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陶器(earthenware)
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炻器(stoneware)
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磁器(porcelain)
の3つに分けられ、炻器は「陶器よりしまっていて、磁器ほど白く緻密ではない」タイプの焼き物です。
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炻器の特徴とは?素材・質感・性能
炻器には、鉄分などを含んだ粘土が使われ、1,200℃前後の高温で焼き締められるのが特徴です。
そのため、
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陶器よりも吸水性が低く丈夫
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磁器よりも素朴で、土味のある質感になりやすい
といった性質があります。
見た目はマットで落ち着いた色合いのものが多く、マグカップやボウル、花器など、日常使いの器として親しまれています。
炻器のメリット・デメリット
炻器のメリット
炻器には
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割れにくく、日常使いしやすい
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土の厚みがあり、保温性に優れる
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落ち着いた風合いで、料理や花が映えやすい
といったメリットがあります。
「ラフに使えるけれど味わいがある器」を求めている人に向いています。
炻器のデメリット
一方で、
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磁器に比べると少し重い
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透光性はなく、シャープな印象にはなりにくい
といった点はデメリットになることがあります。
用途や好みによって、陶器・炻器・磁器を使い分けるのがおすすめです。
炻器と陶器・磁器との違い
炻器と陶器の違い
陶器は素地に細かな穴が多く、水を吸いやすい焼き物です。
炻器は高温で焼き締めることで、
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陶器より硬く、吸水性が低い
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においや汚れが付きにくい
といった違いがあります。
炻器と磁器の違い
磁器は白く緻密で、光にかざすと透けるものもあります。
炻器は、
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透けない
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土の色味が残り、やや素朴な印象
という点が大きな違いです。
音を鳴らすと、磁器は「キン」と高く澄んだ音、炻器はもう少し落ち着いた響きになります。
炻器の代表的な焼き物と身近な例
代表的な炻器として、次のような産地・焼き物が挙げられます。
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備前焼
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信楽焼の一部
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常滑焼の急須
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萬古焼の土鍋 など
身近なところでは、
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マグカップ
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土鍋やグラタン皿
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焼き締めの花器
といったアイテムにも、炻器がよく使われています。
炻器の扱い方とお手入れのポイント
炻器は、基本的に中性洗剤と柔らかいスポンジで洗えばOKです。
洗ったあとは、しっかり乾かしてから収納すると、カビやにおいを防げます。
産地や仕上げによっては「目止め(米の研ぎ汁などで煮て表面の小さな穴をふさぐこと)」が推奨されるものもあるため、購入時の説明書きや作り手の案内がある場合は、それに従うと安心です。
古い炻器や焼き物に価値がつくケースとは?
炻器の中には、
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著名な作家による作品
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備前・信楽など歴史ある産地の古いもの
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共箱や箱書き、銘が残っているもの
など、骨董的な価値が評価されるケースもあります。
ご自宅から古い炻器や焼き物が出てきた場合、自己判断で処分してしまう前に、底の銘や箱の有無などを一度確認し、気になる場合は専門店に相談してみるとよいでしょう。
炻器を選ぶときに知っておきたいポイント
炻器は、丈夫で実用的でありながら、土の風合いを楽しめる器です。
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毎日使う器としての扱いやすさ
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好きな色味や質感
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産地や作家の背景
といった点を意識して選ぶと、長く愛着を持って使える一品に出会いやすくなります。
また、古い炻器が見つかったときは、もしかすると価値ある一品かもしれません。
迷ったときは、専門家に相談してみることをおすすめします。
ゴトー・マンでは、骨董品・美術品に精通した査定士が在籍しており、一点ずつ丁寧に価値を見極めます。
「これ、売れるの?」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。




