ルネ・ラリックとその作品について教えてください。
ルネ・ラリックとその作品についてご紹介します。
アール・ヌーヴォーを代表する巨匠
ルネ・ラリックはアール・ヌーヴォーとアール・デコの両時代に活躍したフランスのガラス工芸家です。金細工師、宝飾デザイナーとしても名声を得ており、現在でもアンティークとしての人気が高く高値で取引きされています。
ルネ・ラリックとはどのような人物で、その作品にはどのような特徴があるのでしょうか。
ルネ・ラリックの生涯
ルネ・ラリックは1860年、フランスのシャンパーニュ地方に生まれ、パリで育ちました。1876年にパリの装飾美術学校に入学し、金細工師で宝飾工芸家のルイ・オーコックに師事して金細工と宝飾の技術を身につけます。さらに、1878年から1880年まではイギリスのサイデナム・カレッジで学びました。
1882年頃からラリックはフリーランスの金細工・宝飾デザイナーとして活躍し始め、1885年にパリのヴァンドーム広場にアトリエを構え、主に女性向けの高級アクセサリーのデザインを手掛け、数々のコンクールに出品して賞を獲得、1897年にはレジオンドヌール勲章を受章、1900年のパリ万国博覧会で宝飾作品が大きな注目を集めるなど名声を得ます。
1892年ごろから宝飾品の一部にガラスを取り入れていたラリックですが、1907年に香水瓶とラベルのデザインを手掛け、香水のコンセプトを意識したデザインが人気を博し、これをきっかけに、ジュエリーデザイナーからガラス作家へ転身。パリ東方にガラス工場を借りて本格的にガラス工芸品の生産を始めます。
表面を科学的に色づけしたガラスや動物などの形に作り込んだ色ガラス、裏面から絵を彫った板ガラスなどの作品を次々に生み出し、1912年にはガラス作品だけの展示会を開催。香水瓶をはじめ、壺や置物、花瓶などを相次いで制作し、その活動は室内装飾や生活雑貨などに広がっていきガラス作家として人気を博します。
そして1925年、アール・デコ展とも呼ばれるパリ万博でガラス部門の責任者を務め、高さ5メートルにもなるガラスの噴水塔を出展するなど、アール・デコを代表するガラス工芸作家としての地位を確立しました。
その後、豪華客船や豪華寝台列車の内装、現在の東京庭園美術館の正面扉や天井灯などを手掛けるなど華々しく活躍。1945年にその生涯を終えました。
作品の特徴
ルネ・ラリックの作品には有機的で柔らかいアール・ヌーヴォー様式の作品と、機能的で実用的なフォルムのアール・デコ様式の作品がありますが、いずれも自然美を追求した彫刻的な作品であることが特徴です。
また、時代や従来の考えにとらわれない作風で、ジャポニスムやボタニカルアート、怪奇趣味的なデザインなど表現が幅広いことも特徴の一つです。
まとめ
ルネ・ラリックの作品は状態や年代、シリーズ、型番などによって価値が変わりますが、ワイングラスやビアグラス、ゴブレットやタンブラーなどは人気が高いため買取対象となることがほとんどです。大量生産品は数千円程度ですが、初期の作品は特に価値が高く、数十万円以上の価値がつくこともあります。