贋作とは?また、贋作を売ったり買ったりしてもいい?
贋作と贋作の売買についてご紹介します。
骨董品や美術品の贋作問題
宝石や美術品、骨董品、ブランド品など、多くの人々が欲しがるようなものは必ずといってよいほど偽物が作られています。優れた品の偽物を作ることは、紀元前一世紀に活躍した古代ローマの詩人ホラティウスが「風刺詩」のなかで言及しているほど古くから行われており、現在も偽物を作る側と取り締まる側のイタチごっこが続いており、骨董品や美術品でも贋作問題として非常に根深い問題となっています。
ところで、贋作とはいったい何なのでしょうか。また、贋作を売買することは可能なのでしょうか。
贋作とは
価値ある品の偽物のなかでも美術品や骨董品の偽物をさすときに使う言葉で、一般的なブランド品や腕時計などにはあまり使われない言葉です。
贋作が作られる理由は様々ですが、一般的には贋作を真作だと偽って販売することを目的に作られ、そのような意図がない場合は「贋作」ではなく「複製」「模写」などと呼ばれ、問題視されることはあまりありません。
また、贋作と混同されがちなものに「レプリカ」がありますが、レプリカの場合はオリジナルの作者自身が作ったり監修したりして作られるのに対し、贋作は作者とは全く無関係な人物が作者の許可なく作っているという違いがあります。
つまり、贋作とは一般的に「真作であると偽って販売することを目的に、作者の許可なく作られた骨董品・美術品の偽物」のことです。
贋作の売買
贋作の売買は、売り手と買い手の双方が「偽物である」と知ったうえで取引きをしているのであれば、違法にはなりません。
つまり、本物だと偽るのはもちろん、偽物であることを伝えずに売買を行った場合は「本物であると錯覚させた」という理由で違法となる可能性があります。
本物だと思って売ったら実は贋作だったという場合も違法にはなりません。あくまで「贋作であると知っていながら、それを真作と偽ったり申告したりせずに売った」場合は違法となります。
また、贋作の売買では買い手が罪に問われることは基本的にありませんが、転売目的で贋作を購入した場合は違法になる可能性があります。
ただし、「違法であるかどうか」と「問題であるかどうか」は少し別の話です。
贋作が流通するということは「本物だと思ったら偽物だった」というケースが発生するだけではなく、真作の芸術性や鑑賞者に与えるイメージが損なわれたり、安価な贋作が出回ることで真作の市場価値が下がったりする原因となります。
そのため、法的に問題はなくても倫理的に問題があるという考えから、贋作の買取は行わない業者も少なくありません。
まとめ
骨董品や美術品の贋作は、個人所有を目的に購入するのであれば違法にならず、それほど問題にはなりません。
しかし、売却するときは売り方によっては違法性を問われることがあるほか、買い取ってくれる業者が見つからなかったり、価値がつかなかったりします。
また、ネットオークションで贋作の販売を行うとトラブルが起こったり、利用規約違反になったりする可能性があるため、売却は難しいといえるでしょう。