煙管筒付煙草入の魅力とは?
煙管筒付煙草入の魅力についてご紹介します。
煙管筒付煙草入とは
煙管筒付煙草入とは、その名の通り煙管を携帯するための筒と、煙管用の刻み煙草を入れる煙草入が一つになったものです。
16世紀に入って喫煙の習慣が日本に伝わると、喫煙具である煙管が作られるようになり、やがて煙管を収納する入れ物と煙草を携帯するための入れ物が登場し、懐や帯から提げて持ち歩くようになりました。
太平の世となった江戸時代に入ると、それまでは実用性重視だった衣類や装身具などに装飾性が求められるようになり、煙管筒や煙草入のデザイン性や機能性も大きく発展していき、二つが一つになった煙管筒付煙草入が作られるようになりました。
煙管筒と煙草入
煙管筒は幅さ22センチ程度の筒状の入れ物で、帯に挟みやすいようやや平べったい形状をしています。本体と蓋に分かれており、煙管筒付煙草入の場合は本体の上部と煙草入が緒で繋がっています。素材は竹、木、鹿角、セイウチの歯、動物の骨などが使われています。
煙草入は現代のカードケースや小銭入れのような小型の蓋つきポーチ状の入れ物で、本体は革や布、蓋についている金具は銀が一般的です。
実用品であり工芸品
煙管筒付煙草入が誕生した江戸時代は、工芸技術が発展した時代であるとともに、印籠や根付といった帯から提げる装身具が流行した時代でもありました。
さらに、当時は煙管や煙管筒、煙草入はステータスシンボルのような意味合いもあったため、煙管筒や煙草入も技巧を凝らした品が数多く作られ、廃刀令が出された明治時代は刀装具に携わっていた職人が制作に携わるなど、見ごたえのある作品が作られるようになりました。
煙管筒は、素材の表面に彫刻や蒔絵、螺鈿が施された品や、鮫革が張られた品などがあるほか、全体が透かし彫りになっている品などもあります。
煙草入は刺繍、織、印伝などの細工が施された品があるほか、彫刻や象嵌といった技法を凝らした金具がついている品も多くあります。
さらに、煙管筒と煙草入を繋ぐ緒に取りつけられた玉飾りが堆朱などで装飾されていることもあり、実用品でありながら、当時の技術が寄り集まった工芸品として鑑賞することができます。
「粋」を楽しむ組み合わせ
煙管筒付煙草入は、煙管筒と煙草入の素材や意匠、色の組み合わせも魅力の一つです。一つの工芸品として完成し、独立した煙管筒と煙草入をどのように組み合わせるかでテーマやストーリーを表現したり、謎かけと回答に仕立て上げたりした煙管筒付煙草入は、まさに「粋」な遊び心を感じられるアイテムといえるでしょう。
まとめ
煙管を使用する人が少なくなった現在、煙管筒付煙草入は実用品として使われることはほとんどなくなりましたが、日本の技術と粋の心が詰まった工芸品として愛され続けています。
骨董品店などで見かけたときは、鑑賞を楽しんでみてはいかがでしょうか。