満州国の勲章は貴重だと聞くが、日本の勲章とは何が違いますか?
満州国の勲章と日本の勲章の違いをご紹介します。
かつて存在した「満州国」
満州国は1932年から1945年まで、現在の中国東北部に存在した国家です。現在の北朝鮮(当時は日本領)、ロシア、モンゴル、中国と国境を接しており、アメリカをモデルとした立憲君主制の政治を行っていました。
国家として存在していた期間が短く、すでに失われていることから、満州国の切手や貨幣などは希少性が高いといわれていますが、授与される人が限定される勲章はさらに希少価値が高くなります。
満州国の勲章とはどのようなもので、日本の勲章とはどのような点が違うのでしょうか。
満州国の勲章
満州国の勲位と勲章は、建国の翌年となる1934年に「勲位及勲章に関する件」で定められました。
勲章は大勲位蘭花章頸飾(だいくんいきっかしょうけいしょく)、大勲位蘭花大綬章(だいくんいきっかだいじゅしょう)、龍光大綬章、景雲章とされ、1936年には柱国(ちゅうこく)章が加わります。製作は日本の造幣局が行いましたが、デザインは満州国独自のもので、皇帝溥儀の意見も取り入れられたといわれています。
勲章制度は日本とほぼ同じで、勲位は大勲位及び勲一位から勲八位まであり、それぞれ、日本の大勲位菊花章頸飾、大勲位菊花大綬章、勲一等旭日桐花大綬章(現・桐花大綬章)、旭日章、瑞宝章に相当します。景雲章以上の勲章は授与される人が限られているため、非常に希少価値が高く、市場に出回ることはまずありません。
骨董品として出回っているものは比較的発行数が多い景雲章と柱国章ですが、序列が高くなるほど希少価値も高くなります。
日本の勲章との違い
満州国の勲章は日本で製作されていたこと、日本の勲章制度を元にしていることから、日本の勲章と似た外観をしています。外箱なども日本の勲章とほぼ同じです。
ただし、デザインの細部には微妙な違いがあります。
例えば、日本の勲章は中央の旭光に「日の丸」の色である赤が使われることが多いのに対し、満州国の勲章では国旗のメインカラーである黄色が使われます。また、勲章の本体には国旗にならった青、白、赤、黒が用いられることもあります。
さらに、勲章本体の上に鈕(ちゅう)が取り付けられている場合、日本の勲章は「桐」ですが、満州国の勲章は国章である「フジバカマ」を図案化した鈕がついています。
高価買取を期待できる満州国の勲章
景雲章の勲二位以上など、序列が高い勲章は希少価値が高いため、高価買取を期待できます。勲一位景雲章で欠品などがない状態であれば、100万円以上の価値がつくともいわれています。
また、序列が低い勲章であっても共箱や勲記、略章、副章などがすべてそろっている、破損などがないなど、状態がよいものであれば高い価値がつきます。
まとめ
満州国が存在したのは13年半と短いため、勲章の現存数も少なく希少価値が高くなっています。序列が低い勲八位柱国章でも数万円程度の価値がつくことが多いので、満州国の勲章をお持ちの方は査定に出してみてはいかがでしょうか。