掛け軸の正しい掛け方・外し方について教えてください。
掛け軸の掛け方と外し方をご紹介します。
季節に合わせて楽しむ掛け軸
掛け軸は一年中「かけっぱなし」にするのではなく、季節や節句などに合わせてかけ替えて楽しみます。そのため、数か月に一度などの頻度でかけたり外したりしなくてはならないのですが、掛け方や外し方を誤ると掛け軸を傷めてしまうことがあります。
今回は、掛け軸の掛け方と外し方をご紹介します。
掛け軸のパーツと飾るための道具
掛け軸にはさまざまなパーツがついています。
掛け外しに関わるパーツは、掛け軸の天辺に軸と平行についた「掛緒」、巻いた掛け軸が広がらないよう止めている「巻緒」、前面に垂れ下がる帯状の飾り「風帯」です。風帯はついていないこともあります。巻緒が掛け軸を傷めるのを防ぐため、「巻紙」という紙が挟まれていることもあります。
また、掛け軸を掛けるときや外すときに使用するのが「矢筈(やはず)」です。
掛け軸の掛け方
1:巻緒を解いて後ろに回し、左端に寄せる
2:掛け軸を平らな場所において途中まで広げ、巻紙を取る
3:風帯がついている場合は伸ばし、強い折り癖がついているときは指で軽く直す
4:右利きの場合、左手で巻いてある軸の中央を軽く持ち、右手に矢筈を持って掛緒を矢筈に引っ掛ける
5:掛け軸がたるまないよう注意しながら持ち上げ、矢筈を使って金具に掛緒をかける
6:矢筈を外して壁に立てかけるなどしたあと、両方の軸先(太巻芯がついている場合は太巻芯)を持ってゆっくり広げる
7:太巻芯がついている場合、太巻芯を外す
掛け軸の外し方
1:太巻芯がある場合は前後を確認して芯を取り付ける
2:軸先に手を添え、ゆっくりと水平に巻き上げる。強く巻きすぎないよう注意
3:ある程度巻き上げたら軸を片手で持ち、矢筈を使って掛緒を金具から外す。風帯がついている場合、風帯を巻き込まないよう気を付ける
4:掛け軸が弛んだり、折れ曲がったりしないよう注意しながら、平らな場所に置く
5:矢筈を外し、風帯がついてる場合は風帯を軸に平行になるよう折りこむ。左、右の順に折り、風帯が軸からはみ出す場合ははみ出さないよう折る
6:巻紙を当てて掛け軸を全部巻き上げる
7:巻緒を中央に寄せ、軸を緒に絡めるように動かして巻きつける。強く巻かないよう注意する
掛け外しの注意点
【片手で軸を持つとき】
掛緒を金具に掛けるときや外すときなど片手で軸を持つときは、軸を持つ手の甲が上向きになるように持ちましょう。
手の甲が下向きになっていると、矢筈や金具から掛緒が外れて落下したときに掛け軸が後ろに折れ曲がってしまいます。手の甲が上向きになっていると折れ曲がって掛け軸が傷む心配がありません。
【広げるときや巻き上げるとき】
掛け軸を広げるときや巻き上げるときは、立ったまま前に屈むのではなく、膝を折ってしゃがみながら、あるいは立ちあがりながら扱いましょう。立ったまま扱うと掛け軸が揺れて落下したり、折れ曲がったりする可能性があります。
まとめ
掛け軸はとてもデリケートなため、掛けるときや外すときの扱い方が誤っているとすぐに傷んでしまいます。正しい掛け方と外し方を知り、優しく丁寧に扱うことで、大切な掛け軸を守りましょう。