村上隆も日本画家?ネオ日本画とは?代表作家とその特徴について教えてください。
ネオ日本画と代表作家、その特徴をご紹介します。
「日本画」と「ネオ日本画」
一口に絵画といっても表現手法や使用する道具などによってさまざまな種類がありますが、簡単に分けると西洋の画材と描画法で描かれた「洋画」と、日本古来の「浮世絵」「唐絵」の伝統を引き継ぎ、水彩や墨でかかれた「日本画」の2通りがあります。
この「日本画」という概念は明治期に「洋画」と対立する芸術として考えられ、当初は日本画と洋画には明確な違いがありました。
しかし、時代が経つにつれて日本画と洋画は影響しあい、画題や様式などの境界があいまいになり、現在「日本画」というと「水彩や墨で描かれた絵」という程度の意味しか持たなくなったといわれています。
「ネオ日本画」は日本画の原点に立ち返り、本来日本画が持っていた「写実を追わない」「陰影が無い」「輪郭線がある」「色調が濃厚でない」「表現が簡潔である」といった特徴や、浮世絵や唐絵の装飾性などの要素を取り入れた美術の新ジャンルです。
従来の日本画のように画材にはこだわらず、アクリル絵の具などの新しい画材も取り入れており、簡単にいうと「浮世絵や唐絵のスピリットと世界観を現代風に発展させたジャンル」といえます。
天明屋尚(てんみょうや ひさし)
天明屋尚は「ネオ日本画」の概念を考案した作家です。
浮世絵などの伝統的な日本絵画の形式と現代のモチーフをミックスさせ、「サッカーをする鎧武者」「浮世絵のガンダム」など、ユニークな絵を多数制作しています。
2006年サッカーW杯ドイツ大会FIFAワールドカップ公式アートポスターの作家として日本人で唯一選出される、ニューヨーク・タイムス紙の一面を飾るなど、作品でも高く評価されています。
村上隆(むらかみ たかし)
今世界で最も有名な日本画家の一人と言われている村上隆は、2010年にベルサイユ宮殿で行なわれた作品展で「美とは何か?」と議論を巻き起こし、その名を世界に広めました。
アニメ風のキャラクターなどをモチーフとするポップな作風の裏に、日本画の浮世絵や琳派の影響を感じさせる構成や、日本画のフラット感などが特徴です。
会田誠(あいだ まこと)
日本国内で若手アーティストを含む幅広い世代から圧倒的な支持を得ている会田誠は、浮世絵的な表現手法と美少女、エログロ、ロリコン、戦争、暴力、酒の賛美などを組み合わせたセンセーショナルな作品で知られる作家です。
山口晃(やまぐち あきら)
2001年に岡本太郎記念現代芸術大賞 優秀賞を受賞した山口晃は、大和絵や浮世絵のようなタッチで、人物や建築物などを緻密に描き込む画風で知られています。
馬型のバイクに乗った武士や瓦屋根の超高層ビルなど、自由でユーモラスな発想の作品が多く、見る人の視点によっていろいろな解釈ができる作風が絶大な人気を集めています。
まとめ
従来の日本画に対するアンチテーゼとして生まれた「ネオ日本画」は、日本美術の古典的なエッセンスを引用しながら現代日本社会や文化を描いていることが特徴です。
考案されたのが2001年と新しいため、現役で活躍する作家も多く、今後もさまざまな作家、作品が登場することが期待されています。