日本刀のランクについて教えてください。
日本刀のランクについて解説します。
日本刀の格付け
日本刀は単なる芸術品ではなく、本来「武器」であるため、格付けでは「切れ味」が重視されます。
日本刀の格付けは1815年、山田浅右衛門という公儀介錯人が多数の刀を集めて試し切りを行い、その結果を「懐宝剣尺(かいほうけんじゃく)」という書物にまとめて公開しています。
最上大業物(さいじょうおおわざもの)
日本刀の格付けのなかで最上級に当たるのが「最上大業物」です。
名のある職人でも一生に1本か2本作ることができればよいといわれるほどの質を持つ日本刀に対して付けられる格で、現在、最上大業物の日本刀を目にする機会はほとんどないといえるでしょう。
また、最上大業物は日本刀の格ではなく職人の質を表すこともあります。
1805年に定められた職人の等級で、南北朝時代の刀工「備前長船兼光(びぜんおさふねかねみつ)」や、江戸時代の刀工「長曽祢虎徹(ながそねこてつ)」など、14の刀工が最上大業物とされています。
大業物
大業物は最上大業物ほどではないものの、優れた切れ味を持った日本刀です。
質は最上大業物よりも劣るとはいえ、名工による作も多く現在では入手困難となっています。
良業物(よきわざもの)
切れ味がよく「上等」と呼ばれる日本刀です。
武士のなかでも旗本や諸藩の重臣など階級がやや高い武士が所有していました。
業物
上等な良業物よりも切れ味がやや劣る「並」の日本刀です。
一般的な武士が所有していた日本刀の多くが業物で、現在でも比較的入手しやすいランクです。
なまくら
正式な格付けには含まれていない「ランク外」の日本刀です。
現在でも切れ味の悪い包丁を「なまくら包丁」というように、包丁よりは切れるものの刀としては切れ味が悪い品をさします。
鑑定のランク
本来武器でありながら、現在は古美術品、骨董品として扱われる日本刀は、切れ味を基準にした「格付け」とは別に、作られた年代や状態などを基準とした鑑定のランク付けがされています。
日本刀の鑑定を行う機関は複数ありますが「公益財団法人 日本美術刀剣保存協会」の鑑定書が最も信頼されています。
日本美術刀剣保存協会の鑑定ランク
日本美術刀剣保存協会の鑑定では、刀剣が有銘か無銘かの区別、有銘の場合はその真偽の確認、無銘の場合は時代や作者、流派などの推定、鞘や柄などの刀装が当時の形を維持しているかなどをチェックし、その結果に応じて「保存」「特別保存」「重要刀剣」「特別重要刀剣」という4つのランクに分類した鑑定書を発行します。
「特別重要刀剣」や「重要刀剣」は保存状態がよい古い時代の刀剣に付けられるランクで、国の重要美術品相当の質を持っていると認められた品にのみつけられています。
まとめ
日本刀のランクには、切れ味による「格付け」と、古美術品としての視点で鑑定した「ランク」という2通りがあります。
例えば、骨董品として売却をする際は「良業物の刀」として売却するのではなく、きちんと鑑定を受けて「特別保存ランクの良業物の刀」として売却したほうが高額となります。
ただし、日本刀の鑑定は「目利き」がないと難しいことも多く、専門知識を持っていない業者に売却すると「鑑定書がついていない無銘の刀」などはかなり低い価格で買取られることがあります。
日本刀を売却するときは、日本刀の専門店や日本刀の知識を持つ骨董屋を選ぶことが重要です。