香棚とはどんなものを指しますか?普通の棚との違いは?
香棚について解説します。
香棚とは
香棚とは香道に使われる道具を飾るための棚です。香道に使われる道具を飾る目的の棚がなかった時代に、文房具であったり化粧の道具に使われる棚を参考にし、つくられたといわれています。
現在でも製造されている
香道の道具を置くためにつくられたものを全般に香棚とよび、これは現在でもつくられています。材料は主に木製で漆を塗って仕上げるなどの方法があります。
通常の棚との違い
一般的に香棚と他の棚との違いはその使用目的にあります。
主な構成として棚は3-4つほどの物をおけるスペースがつくられています。
もっとも高い位置となる天板には飾るための箱を置くようになっており、下の棚には香木に火をつけるための香炉を配置したり、香炉とは別の場所に火取り箸などを置くようになっています。
香棚の種類
香棚にも種類はいくつかあるのですが、最も有名なのは志野棚です。この名前は志野流が使用していたものでこのような呼ばれ方をしていますが、志野流とは香道や茶道の流派のひとつで、足利義政やそのとりまきである志野宗信によってつくられたことから志野流と呼ばれ、古い伝統があるのです。志野流が使用していた棚はほかにも茶道に使われる茶棚などもあります。
利休袋棚、袋棚、志野袋棚とも呼ばれます。利休袋棚という名については、千利休が好んで使っていた、もしくは香棚をつくったという話もあり、このようによばれることもあるのだそうです。
ほかにも貴重な種類としては、松藤蒔絵香棚や松竹梅山水蒔絵香棚といった香棚があり、博物館などで飾られることがあるほどの貴重なものになっています。
志野棚は茶道に使用されることも
志野流では香道だけでなく茶道もおこなっていることから、茶道で志野棚が使用される場合もあります。香道は知らないが茶道は嗜んでいる、という方のなかにはこの香棚を見たことがあるという方もいるかもしれません。
まとめ
主に香道に使用するものであれば香棚となりますが、香棚のなかでも骨董的価値があるのは、志野流で使用されていた志野棚となります。香棚であればどんな種類でも志野棚と呼ぶケースもありますが、志野棚と呼ばれているからといって骨董価値が高いとは限りません。
古くから志野流で使用されてきた志野棚が価値が高いものとなります。
香棚全体以外にも、香棚に飾るための箱や、香道に使われる道具を置くための盆であったり、物をしまうための香箱とよばれる箱なども骨董品として売買されています。