茶道で使われる風炉先屏風とはなんですか?
茶道で使われる風炉先屏風についてご説明します。
風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)とは
風炉先屏風は、茶室の中のお茶をたてるスペースに置いてある二つ折りの屏風のことです。
客人が座る「客座」から見て、お湯を沸かすための「炉」の奥(先)に置かれることから、風炉先屏風と呼ばれており、茶室の空間を仕切るだけではなく、茶道具を風から守る、背景として茶道具を引き立てるといった役割を持っています。
風炉先屏風を使う時期は?
風炉先屏風の名前の元になっている「風炉」は、お湯を沸かすために使う炉の一種で、5月初めごろから10月末ごろまで使われる夏用の炉です。
そのため、風炉先屏風も風炉を使う季節のみに使うものだと思われることがありますが、風炉とは異なり季節を問わず一年中使用します。
とはいえ、夏は一部に透かしが入っている、木や竹を使っているなど、涼やかな風炉先屏風を使い、冬は鳥の子白張りのしっかりした風炉先屏風を使うというふうに、季節に合わせて使い分けるのが一般的です。
風炉先屏風の大きさ
風炉先屏風の幅は畳の大きさに合わせて作られています。
畳には、近畿地方、四国など西日本で広く使われる「京間(関西間)」と、関東、東北などで使われる「江戸間(関東間)」のほか、さまざまな種類が存在し、サイズも種類ごとに異なります。
現在の茶室は「京間」の畳が基準となってるため、風炉先屏風の幅も京間サイズがほとんどですが、同じ京間用でも時代によって大きさが異なっていたり、京間以外の畳に合わせた風炉先屏風もあるため、古い風炉先屏風の大きさは、現在の風炉先屏風と同じ大きさとは限りません。
高さは一般の屏風よりずっと低く、風炉先屏風の基本となっている「利休形」では、二尺四寸(約73cm)となっていますが、さらに小ぶりな一尺八寸(約54cm)の風炉先屏風もあります。
風炉先屏風のデザイン
風炉先屏風は、茶道具を引き立てる背景という役割を持っていること、お茶をたてる時に、お茶がはねて汚れる可能性があることから、目立った装飾のない簡素なデザインであることがほとんどです。
しかし、流儀や好みによって多種多様な風炉先屏風が作られているため、美しい絵付けがされている風炉先屏風や、透かし彫りや組み木、素材の色合いの違いで柄を表現した風炉先屏風など、芸術的な風炉先屏風もあります。
まとめ
風炉先屏風は質素なデザインが多く、茶道具の後ろに置いてあり、茶室の広さや間取りによっては使用されないこともあるため、茶室に置いてある道具としては、あまり印象に残らない存在です。
しかし、目立たないからといってぞんざいな扱いをされているということはなく、大きさや季節感を考えて丁寧に作られています。
多くの人が気に留めないところまで気を配る、日本人の「おもてなしの精神」が、風炉先屏風には凝縮されています。