茶の湯の釜にはどんな種類がありますか?
茶釜の発生から大まかに分けると「芦屋」「天命」「京釜」の3種類に分類されます。
茶席で湯を沸かす釜は、茶釜と言われます。
「釜を掛ける」といえば、茶会を催すことを意味するほど、釜は茶道具の中でも特別な存在です。
利休百首にも「釜ひとつあれば茶の湯はなるものをよろづの道具をもつは愚かな」と詠われているほどです。
茶道具の中でも特別な存在の釜は、釜の発生から大別すると「芦屋」「天命」「京釜」の3種類に分類されます。
それぞれの釜についてご紹介します。
茶釜の種類
芦屋釜
筑前の芦屋釜(福岡県)では、鎌倉時代からすでに釜を生産しており、室町時代には茶釜を作っていたと考えられています。鎌倉時代末期から室町初期にかけて、現在の茶釜の原型である真形釜(しんなりがま)が確立したと言われています。
鎌倉時代末期頃から梅などの大柄の文様を押出すようになり、亀甲、七宝、梅花は代表的な文様です。
室町時代からは真形釜の胴部を八角にして八景地紋をあらわしたものや六角形などの変形の釜も作られました。しかし、大部分は真形釜で文様も松竹梅の組み合わせか松林の図が多くありました。
室町時代には隆盛を誇っていましたが、江戸時代初期には製作が途絶えたと考えられています。
数ある茶釜の中でも、芦屋釜は格調の高さや品質の良さに定評があり、好まれていました。
現在でもその評価は高く、国指定重要文化財9点のうち8点が芦屋釜で占められています。
天命釜
「天明」や「天猫」とも書かれ、下野国佐野庄天命(栃木県佐野市)で作られた茶釜の総称です。
「天猫」も他の書き方と同様に「てんみょう」と読みますが、これは利休が洒落てつけたと言われています。
鎌倉時代には釜を生産していたと考えられており、室町時代末には芦屋釜と並び称されるようになりました。芦屋釜が絹肌といわれる滑らかな釜肌に文様を施すのに対し、天命は文様のあるものは少なく、やや荒れた釜肌で、素朴で侘びた趣が好まれました。
京釜
京釜の京都では、室町時代末期から、京都御所の正門から南に伸びる「釜座通」に釜座(釜を製作する人の組合)が既に存在していたといわれています。茶の湯が盛行した十六世紀後半には、西村道仁、辻与次郎などの釜師が活躍し、茶湯釜生産の中心は京都に移りました。
また、芦屋や天命は鋳物師の名が出るものは少なく地名で言われるのに対し、京釜では鋳物師の名が前面に出てきます。
まとめ
茶釜の発生別に3種類ご紹介しました。
天猫釜は今でも製作されていますが、芦屋釜は今では製作されていません。
また、茶釜は素材が主に鉄製で作家物は高い価値がありますが、金や銀で作られた茶釜も非常に高い価値があります。
お手元に茶釜をお持ちの方は、買取りについてお気軽にご相談ください。