螺鈿(らでん)細工で買い取ってもらえるものは、どのようなものがありますか?
螺鈿細工が施されている茶道具、食器類、楽器類、家具類は買い取れる可能性が高いです。
螺鈿細工とは
螺鈿細工は様々な工芸品に使われている装飾技法です。
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棗や香合、菓子器などの茶道具
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椀や皿、盆、重箱、酒器などの食器類
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三味線や琴などの楽器類
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タンスなどの家具類
このようなものに螺鈿細工は使われています。
では、螺鈿細工とはどうのようなものなのかをご紹介します。
螺鈿細工
螺鈿は、主に漆器や帯などの伝統工芸に使用される装飾技法のひとつです。
螺とは貝、細は散りばめることを意味しています。
貝殻の内側にある虹色光沢を持った真珠層の部分を使用して装飾を施していきます。
使用される貝は、ヤコウガイ、シロチョウガイ、クロチョウガイ、カワシンジュガイ、アワビ、アコヤガイなどです。
貝の厚みによって薄貝と厚貝に分類されます。
薄貝は薬品で煮て真珠層を薄く剥がして使用します。厚貝は研磨して使用します。このように貝の厚さによって、用途わけがされています。
質としては、厚貝の方が良いとされる傾向があります。輝きを出すために磨きをかける工程上、薄貝では面積を広く作り出すことが困難であることが理由のようです。
漆芸の蒔絵のように漆とともに併用する装飾技法が多く、象嵌(ぞうがん)と呼ばれる漆をある模様に削り、貝片をはめこみ磨き上げる嵌入法と、あらかじめ貝片を貼り付けて貝の高さまで周辺に漆を重ねていく付着法があります。
螺鈿細工の歴史
螺鈿細工の技術が向上したのは平安時代だと言われています。漆芸の装飾技法として蒔絵との併用が盛んに行われました。
鎌倉時代に入ると鞍に螺鈿細工を施すことが流行り、室町時代には中国から輸入された高級螺鈿細工に影響を受けたと言われています。
安土桃山時代に入ると、欧州へ輸出するため螺鈿と蒔絵が施されたタンスやコーヒーカップなどの南蛮漆器が多く作られるようになり、欧州では高級品として人気がありました。
江戸時代に入っても、人気はありましたが、幕府の鎖国政策のため、国内向けの作品に力を注ぐようになりました。江戸時代の螺鈿職人としては生島藤七、青貝長兵衛、杣田光正・杣田光明兄弟などが有名です。
琉球漆器は螺鈿細工が施されていることで有名です。琉球王国時代には螺鈿細工が花形であり、現在でも伝統が継承されています。
螺鈿細工の人間国宝
北村昭斎
平成2年に人間国宝に認定されています。
東京藝術大学美術学部工芸科卒業。
卒業後は早川電機工業(現在のシャープ)の工業デザイン部門を経て、漆芸家である父・北村大通のもとで漆芸の制作と文化財修理を行っていました。
第27回日本伝統工芸展にて東京都知事賞、第44回日本伝統工芸展にて文部大臣賞、第45回日本伝統工芸展にて朝日新聞社賞を受賞しています。
まとめ
古くから装飾として使われてきた螺鈿細工についてご紹介しました。
冒頭でご説明した通り、螺鈿細工は様々な工芸品に用いられており、どのような種類であっても、買い取れりができるでしょう。
また、作家がはっきりしている場合は、高値での買取が期待でます。
お手元に螺鈿細工をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。