盆栽鉢(植木鉢)とは?中国古鉢など、買い取ってもらえる条件には何がある?
盆栽鉢の買い取り条件についてご紹介します。
木と鉢の融合を楽しむ盆栽
盆栽というと、松や杉、梅などの木を中心に、草や苔を鉢に植え、鑑賞する芸術の一つです。鑑賞の対象となるのは木の枝ぶりや葉姿、幹の肌、全体の形など、植えられた木というイメージがあります。しかし、実際は木だけではなく植えられている鉢も鑑賞対象となります。
鉢の大きさや色によって木の見え方が大きく変わるだけではなく、木と鉢の組み合わせ方で一つのテーマを表現するなど、盆栽における鉢の役割は意外と大きく、その役割を果たすために美術品的な価値を持つ盆栽鉢が数多く作られてきました。
植木鉢や盆栽鉢は買取対象にはならないだろうと考えられがちですが、中には骨董的な価値や美術的な価値が認められる品もあります。どのような品であれば買取可能なのでしょうか。
中国陶磁器の鉢
盆栽は現在日本の文化として世界中に知られていますが、元々は中国で発展した文化で、日本に盆栽の文化が伝わると同時に中国陶磁器の盆栽鉢も伝わりました。
盆栽が日本に伝わったのは平安時代後期といわれていますが、この頃から品質の高い盆栽鉢の輸入も始まっており、まだ品質が良くなかった国産の鉢よりも重宝されてきました。大正時代ごろまで盛んに輸入された中国陶磁器の盆栽鉢は、その優美さから現在でも人気が高く、市場でも多く取引されています。
大正期以前の品
中国陶磁器の盆栽鉢は輸入された時代によって「古渡り」「中渡り」「新渡(しんとう)」「新々陶(しんしんとう)」と呼ばれています。
江戸時代以前に輸入された「古渡り」の盆栽鉢は、美術的に優れているだけではなく骨董的な価値も高く、かなりの高価買取が期待できます。
「中渡り」は明治期に輸入された盆栽鉢で、経済的に余裕のある日本の盆栽愛好家が中国の窯に注文し盆栽用として作陶させたものなど、優れた銘品が多いことから高い価値がつくものが多いのが特徴で、買い取り対象となるのが一般的です。
「新渡」は大正期から戦前に輸入された品で、美術的・骨董的な価値は低いものの、形がよく機能的であることから需要も多く、買い取り対象となることがありますが、時代によっては品質が下がるため、買い取りできないこともあります。「新々陶」は大量生産品となり、買い取りできないか、できてもほとんど価値がつきません。
状態などにもよりますが、盆栽鉢で買い取り対象となるのは大正期以前に輸入された品です。中でも「古鉢」と呼ばれる古渡りの中国製盆栽鉢であれば高い価値がつく可能性があります。
作家もの
日本で本格的な盆栽鉢が作られるようになったのは江戸時代ごろからで、古伊万里や九谷などの盆栽鉢も存在しますが、中国陶磁器の鉢に比べると品質は低く、買い取りできてもあまり高い価値はつきません。
ただし、平安東福寺や井上良斎、永楽善五郎などの名陶工による作の場合は買い取り対象となり、状態などによっては高い価値がつきます。
日本の盆栽鉢は落款の有無が重要です。落款がない場合は、真贋の判断ができないことから、買い取りできない可能性もあります。
まとめ
買い取りできる盆栽鉢は、主に大正期以前に輸入された中国陶磁器の盆栽鉢と、落款がついた国産の盆栽鉢です。ただし、それ以外の盆栽鉢でも買い取りできることがありますので、お手元に売却を検討している盆栽鉢をお持ちの方は、ぜひ弊社にご相談ください。