白磁器とボーンチャイナの違いはなんですか?
白磁器とボーンチャイナの違いをご紹介します。
どちらも「磁器」の種類
高級なカップなどの裏側を見ると、ときどきボーンチャイナと書かれているものがあります。
「ノリタケ」「マイセン」といったメーカーの名前のように勘違いしがちですが、この「ボーンチャイナ」とは磁器の種類のことで、メーカー名ではありません。
ボーンチャイナの特徴は白く艶やかな肌ですが、同じような特徴を持つ磁器に「白磁器」があります。
白磁器とボーンチャイナはどこが違うのでしょうか。
焼成方法と色合い
磁器を簡単に説明すると、1300℃付近の高温で焼成した白みのある焼き物のことで、一般的には酸素をたっぷり含んだ「還元炎」で焼成します。
還元焼成された白磁期は青みがかった白色をしており、磁器特有の繊細で固い印象に仕上がります。
一方、ボーンチャイナは酸素の量が少ない「酸化炎」を使い、白磁よりももやや低い温度で焼成します。
磁器の色合いは焼成温度や環境によって左右されるため、ボーンチャイナは白磁のような寒色系の白ではなく、どことなく肌色がかった温かみのある白になります。
また、ボーンチャイナは釉薬をかけず高温度で1回焼いたあと、「フリット釉」と呼ばれる焼成して釉薬をスプレー掛けし、本焼成より低い温度で「釉焼き」をするのが特徴です。
白磁は1回目より2回目の方が焼成温度が高いため、焼成方法に明確な違いがあるといえます。
成分の違い
磁器の白さは焼成温度や環境によって左右されますが、素地に含まれている成分によっても白さが変わります。
白磁器には白さを作るためなかに「カオリン」という成分が含まれており、ドイツやフランスではカオリンを使用して磁器を作っていましたが、イギリスではカオリンを入手することができなかったため、その代用品として牛の骨灰を使用して磁器を作るようになりました。この、牛の骨灰を使って作られた白い磁器がボーンチャイナです。
ボーンチャイナは「Born China」と勘違いされることから「中国発祥の磁器」を誤解されがちですが、正しくは「Bone China」で、骨(Bone)を使った磁器(Chine)という意味です。
ボーンチャイナに含まれる牛の骨灰の量は各国で規格が決まっており、日本では30%、イギリスでは35%、アメリカでは25%となっています。
また、ボーンチャイナのなかでも牛の骨灰の量が50%を超えるものは「ファインボーンチャイナ」と呼ばれます。
強度と透光性の違い
いずれもデリケートな外見を持つ白磁器とボーンチャイナですが、強度を比べるとボーンチャイナは白磁よりも強いといわれています。
また、どちらも素地にガラス層を含んでいるため透光性がありますが、白磁は釉薬を浸し掛けするのに対し、ボーンチャイナは吹き付けるため釉薬の層が薄いことから、ボーンチャイナの方が白磁よりも透光性がやや高いといわれています。
まとめ
白磁とボーンチャイナは、どちらも「白い磁器」ではありますが、焼成方法や成分、色合いなどに違いがあります。
フランスやドイツなどでは白磁が好まれており、セーブル、マイセン、ヘレンド、ロイヤルコペンハーゲンなどのメーカーで製造されていますが、ボーンチャイナを製造しているメーカーはほとんどありません。
一方、イギリスではボーンチャイナが好まれており、スポード、ウェッジウッド、ミントンなど、数多くのメーカーがボーンチャイナを製造しています。