ここでおさらい。棗(なつめ)の「大棗・中棗・小棗」の違いとは?
日本の茶道具である「棗」の世界に触れ、その種類「大棗・中棗・小棗」の違いについて探っていきましょう。
棗(なつめ)とは?
まず基本から振り返りますね。棗は、主に抹茶(抹茶を作るための粉末緑茶)を保存・運搬するための茶道具です。特徴的なフォルムと、多種多様なデザイン、装飾で知られ、それぞれ異なるシーンや季節、茶事に応じて使い分けられます。
形状や大きさ、装飾において多くのバリエーションを持つ棗は、茶道の世界ではその精緻な造形美や素材感が楽しまれています。
大棗・中棗・小棗の特徴
大棗
大棗は、文字通り大きな棗で、主に冬の季節や、正式な茶事、懐石料理を伴う茶懐石に使われます。大きさは主に3寸以上(約9cm以上)で、その存在感は一段と際立っています。一般的には格式高い場や冬の茶事でその真価を発揮します。
中棗
中棗は、サイズ的に大棗と小棗の中間に位置し、よりカジュアルな茶事や、暖かい季節に好んで使われます。サイズはおおよそ2.5寸から3寸(約7.5cmから9cm)程度。中棗は多くの場面で使うことができるため、茶道具としての入門品ともいえる存在感があります。
小棗
小棗は、その名の通り小さなサイズの棗で、直径が約2.5寸(約7.5cm)以下のものを指します。小棗は、涼しい季節や野点(野外での茶会)などカジュアルな場でよく使用されます。コンパクトで軽量なので、携帯にも適しています。
棗を楽しむ
棗の魅力は、その形やデザインだけではありません。素材や彫刻、漆の技法など、職人技が光る一品一品に、深い歴史や物語性を感じることができます。
特に、歴史的な名工による棗は、その技術や感性を目の当たりにすることができ、まさに芸術品としての価値があります。
棗のコレクション
棗のコレクションは、その魅力にどっぷりと浸かる楽しさがあります。豊かな色彩や装飾のバリエーション、多様な技法によって作られた棗たちは、見る者の心を掴んで離しません。有名な作家の作品から、地方で受け継がれてきた伝統的なものまで、多種多様な棗を手にすることで、その奥深い歴史や文化に触れることができます。
棗との出会いを大切に
一つ一つ異なる表情を持つ棗たちは、まるで生き物のようです。その一つ一つが語る物語や、手にした時の感触、香りを楽しむことで、日常にひとときの安らぎをもたらしてくれます。棗と向き合い、その個性を理解し、大切に使いこなすことで、一層の味わいが生まれることでしょう。
まとめ
棗(なつめ)は、サイズによる分類「大棗・中棗・小棗」があり、それぞれが異なるシチュエーションや季節に適しています。また、棗一つをとってもその製作技術や装飾は多種多様であり、茶道を楽しむ上でその奥深い歴史や文化、職人の高い技術と感性に触れることができます。棗に秘められた物語性や美しさを通して、日本の伝統工芸としての価値を再認識し、その豊かな世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。