髹漆(きゅうしつ)とは?人間国宝など代表的な作家にはどんな人がいますか?
髹漆(きゅうしつ)と髹漆の代表的な作家をご紹介します。
髹漆とは
髹漆とは漆芸技法の根幹となる「塗り」の技術で、漆芸技法のなかではもっとも古い技法だといわれています。
漆を塗る「素地」選びから下地工程、上塗り、仕上げまで幅広く関わる技法であり、木・紙・竹など様々な素地の特色を見極める経験や知識、素地の魅力を活かす高い技術が求められます。
髹漆の上塗りや仕上げには、漆を塗った後に磨かずしっとりとした質感に仕上げる「花塗(塗立)」や、磨いて光沢を出す「呂色塗(ろいろぬり)」などがあります。
髹漆の人間国宝作家にはどのような人がいるのでしょうか。
赤地友哉
赤地友哉は石川県出身の漆芸家です。ヒノキや杉を加工する「檜物師(ひものし)」の家に生まれましたが家業は継がず、塗師の新保幸次朗、渡辺喜三郎に師事し漆芸家の道を歩みます。
伝統的な髹漆の技をベースに、檜物師の「輪積み」という技法を取り入れた「曲輪造り」など独自の技法を確立し、髹漆の世界に革命を起こしたといわれています。
増村益城(ますむらましき)
増村益城は熊本県出身の漆芸家で、熊本市立商工学校で漆芸を学んだあと、漆芸家の辻富太郎、赤地友哉の師事を受けました。
和紙を張り重ねて素地を作る「乾漆技法」と、表面を磨くことで力強い光沢を引き出す「研ぎ出し」の技で独自の表現を確立。洗練された造形と達人的な技は後進に多大な影響を残しています。
大西勲
大西勲は福岡県出身の漆芸家です。大工や自動車整備工など、様々な職を経た後、25歳で鎌倉彫の彫刻師 木内晴岳に師事、30歳で赤地友哉の弟子となり漆芸家の道を歩み始めます。
師である赤地友哉が確立した「曲輪造り」に加え、幾重にも重ねた丁寧な塗りと研ぎ出し、表面を磨かずに仕上げる「塗立」のしっとりとした質感が魅力で、素朴でありながら優美でしなやかな印象の作風が特徴です。
小森邦衛(こもりくにえ)
小森邦衛は石川県輪島市で生まれた漆芸家で、樽見幸作に沈金を学んだあと、赤地友哉から「曲輪造り」を、細い竹を編んで作った器に漆を塗る「籃胎(らんたい)」の技法を太田儔から学びました。
竹を編んだ文様と漆の塗りぼかしを組み合わせ、刷毛目のない美しい仕上がりが見せる深い艶が特徴です。
まとめ
漆が持つ魅力を最大限に引き出した髹漆の作品は、蒔絵や螺鈿のような華やかさは感じられないものの、しっとりとした深みのある温かさや素地がもつ質感と魅力を存分に感じることができます。
中でも、人間国宝や有名作家の作品は高い価値がつきますので、お手元に売却を検討している髹漆をお持ちの方は一度弊社にご相談ください。