掛け軸の折れの原因と対策方法4つ。
掛け軸の折れの原因と対策方法を4つご紹介します。
掛け軸に多いトラブル
紙と布を糊で貼り合わせて作る掛け軸は、素材の性質上折れが発生しやすいという特徴をもっています。
掛け軸の折れは作品の美観を損ねるというだけではなく、折れた部分が弱くなることで作品の破損に繋がることがあるため、正しい保存方法や取り扱い方を知ることで折れの発生を防ぐことが重要です。
折れの原因は「掛け軸が硬い」こと
例えば、厚みが同じ絹とフェルトの生地があるとします。この2つを同じ太さに巻こうとすると、しなやかで柔らかい絹はきれいに巻き取れますが、硬いフェルトは上手く巻けず折れてしまいます。
また、半紙やコピー用紙は細く巻くことができても、厚紙を細く巻くことはできませんし、太めに巻いても折れてしまうことがあります。
掛け軸も同様に、使用されている素材自体の硬さや、使用されている糊の濃度などによって作品が硬くなっていると折れが発生しやすくなります。
また、掛け軸を「かけっぱなし」にしている、直射日光に当てる、細く巻きすぎたり巻いたまま長時間放置しているなど、掛け軸にストレスを与えたことで素材の機能が落ちてしまう、水分が蒸発して乾燥してしまうことで掛け軸が硬くなりと折れてしまいます。
掛け軸の折れを防ぐには、掛け軸が硬くなることを防ぎ、折れの原因になる取り扱い方を避けることが重要です。
対策1:「かけっぱなし」「しまいっぱなし」にしない
掛け軸をかけっぱなしにしていると、掛け軸は天候や気候の影響を受けやすい状態になります。
常に外気にさらされ、その日の湿度や温度に応じて水分を排出したり、吸収したり、環境に合わせて状態が変化します。
この変化は掛け軸の素材にストレスとなり、機能低下や乾燥の原因となります。
また、しまいっぱなしにしていると一定の場所に負荷がかかり続けるため、やはり機能が劣化して素材が硬くなってしまいます。
「かけっぱなし」「しまいっぱなし」にはせず、季節ごとにかけ替えるなどするとよいでしょう。
対策2:直射日光を避ける
掛け軸に限らずすべての美術品に言えることですが、直射日光は作品の劣化、剥落などの原因になります。
飾るときや虫干しをするときは、必ず直射日光を避けてください。
対策3:きつく巻きすぎない
掛け軸を巻くとき、きつく巻きすぎると負荷が大きくなり、シワや折れが発生しやすくなります。
ただし、ゆるく巻きすぎても折れる原因となりますので、掛け軸を巻くときは少し余裕を残してゆるく巻くという感覚で扱うとよいでしょう。
対策4:巻くときは軸先を持つ
掛け軸を巻くときに掛け軸本体に指をかけるなど、掛け軸本体を触るとその部分に余分な力がかかることでシワや折れの原因になることがあります。
また、手の汚れや脂、水分が付着することで掛け軸にシミができる場合もありますので、掛け軸を巻き取るときはなるべく本体には触れず、軸先を持って巻くようにしましょう。
まとめ
掛け替えや虫干しなどを行い、取り扱いに細心の注意を払っていても経年劣化などが原因で折れが発生することはあります。
折れが発生したときは裏打ち紙をはがして仕立て替えをするなど、専門的な知識と技術が必要となりますので、自分で修復しようとはせず、できるだけ早く表具師に依頼して修復してもらうことをおすすめします。