香木の代表的な種類「沈香」と「伽羅」について教えてください。
香木の沈香と伽羅について解説します。
沈香
香木は主に樹脂の匂いが香りの元ではありますが、沈香は胞子やバクテリアの働きで樹脂の成分が変化したものです。木自体は一般の木と同じで、とても軽く水に浮かびますが、樹脂がついている部分は重く水に沈むことから「沈」という字がついており、沈水香木という言い方もあります。それほど樹脂の中身はぎっしり詰まっているのです。
高級品である理由
その香りがどのようにして作られているのかは、まだはっきりと解明されておらず、同じ香りを人間が作ることはできないとされています。もし作ることができたとしても、かなりの年数が必要となります。
まず木が子どもの状態から大人になるまでに20年ほど、そして沈香となるまでの期間はさらにその倍以上必要で、品質が良いものになるには、100年以上かかってしまうのです。
そのため生産量が少なく、とても貴重で高価な値段で取引され、金と同等、ものによってはそれより価値があるともいわれるほどの高級品です。
日本では採取できない沈香
原木が日本には生息していない木のため、海外から輸入するしかありません。採取できる場所としては東南アジア全域で主にベトナム、カンボジア、インドネシアなどがあります。
香りによる健康効果もあるといわれている
香りの効果もさまざまあり、喘息、吐き気、お腹の痛み、腰やひざの冷え、体の疲労などに効果があるとされています。
伽羅
最高級の沈香
伽羅は沈香のなかでも最上級の品質のものと分類するのが一般的となっています。
沈香はいくつかの国からとれますが、伽羅といえる高級なものはベトナムのごく一部の地域以外では発見されていません。そのためベトナム戦争の地雷によりとれなくなってしまった時期もありました。そういった経緯から土のなかに埋めて発酵してつくられているものあり、これも伽羅と呼ぶことがあります。
香道で主に使われるのはこの伽羅で、特に香りを楽しむ聞香に最適です。香りも非常にたくさんの種類があり、香木の香りは酸味や苦味などさまざまな種類がありますが、それらすべての香りの種類が伽羅にはあるともいわれています。
まとめ
日本では古来から権力のある人しか香木を楽しめませんでしたが、伽羅はそのなかでも天皇であったり将軍というようなごくわずかな人しか楽しむことが許されないほどの高級品でした。そのため、現代の日本でも香木自体、その中でも最高級品である沈香や加羅は一般には広まっていないのです。