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茶道具に掛軸は欠かせない?その役割と意味を解説

茶道具に欠かせない掛軸の役割とはなんでしょうか。茶席を彩るその意味と魅力を解説します。

茶道と聞くと、茶碗や茶釜、茶杓といった道具が思い浮かぶかもしれません。しかし、茶室の床の間に掛けられる掛軸もまた、茶の湯には欠かせない存在です。掛軸は、単なる装飾品ではなく、茶会の趣旨や季節感、そして亭主の思いを伝える重要な役割を果たします。茶室に足を踏み入れた際、最初に目に入るのが床の間の掛軸です。そのため、掛軸の選び方や意味を理解することは、茶道を深く知るうえで大切な要素となります。

茶道と掛軸の関係

掛軸が茶道において重視されるようになったのは、室町時代の村田珠光や、千利休による茶の湯の確立が大きく関係しています。珠光は、茶の湯において禅の精神を重んじ、茶室に禅宗の墨跡を飾ることを推奨しました。これが、茶室に掛軸を飾る文化の始まりとされています。その後、千利休がこの考えをさらに発展させ、茶室における掛軸は「茶の湯の第一の道具」とまで言われるようになりました

掛軸には、禅の教えを説く禅語や、和歌、俳句などが書かれており、それらの言葉を通して茶会のテーマや亭主の心を表現します。また、茶道では「一期一会」の精神が重視されますが、その瞬間の出会いを大切にするために、掛軸もその場にふさわしいものを選ぶ必要があります。

掛軸の役割とは

掛軸は、茶会において以下のような役割を果たします。

茶会の趣旨を伝える

茶会には、季節の移ろいや客人をもてなす亭主の心が込められています。例えば、新春の茶会であれば「松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)」といった長寿や繁栄を願う禅語を掛けることがあり、茶会の趣旨を明確にする役割を担います。

季節感を演出する

日本の四季を大切にする茶道では、季節に合わせた掛軸を選ぶのが基本です。春なら桜や梅、夏なら涼しさを感じさせる流水や青々とした竹、秋には紅葉や月、冬には雪景色や椿の図柄など、季節を感じる掛軸が用いられます。

精神性を高める

茶道は、単なるお茶を点てる行為ではなく、精神を磨く修行の一環でもあります。掛軸に書かれた禅語や墨跡を眺めることで、客人も茶会の趣旨を理解し、心を整えることができます。例えば、「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」という禅語は、「どんな日も良い日である」という前向きな教えを伝え、茶席の雰囲気をより深みのあるものにしてくれます。

茶室にふさわしい掛軸の種類

掛軸には、茶室に飾るものとして特に好まれる種類がいくつかあります。

墨跡(ぼくせき)

禅僧が書き残した書のことを指します。禅宗の精神が込められた言葉が多く、千利休も特に重視したとされています。「一期一会」や「喫茶去(きっさこ)」「無事是貴人(ぶじこれきにん)」などの言葉がよく用いられます。

和歌・俳句

平安時代から伝わる日本の和歌や、江戸時代の俳句が書かれたものも茶室で好まれます。日本の文化や自然観を表現するものが多く、季節感を演出するのにも適しています。例えば、「秋の夜の月」や「春霞」のような風情ある表現が茶席に趣を添えます。

花鳥画・風景画

水墨画や日本画の技法で描かれた花や鳥、風景をモチーフにした掛軸も茶室に飾られます。松や竹、梅などの縁起の良い植物や、四季折々の美しい風景が描かれているものが好まれます。

掛軸の選び方

茶会の目的や季節に合わせて適切な掛軸を選ぶことが大切です。

季節を意識する

季節に合った掛軸を選ぶことで、茶室の雰囲気がより引き立ちます。春には桜や梅、夏には清流や涼しげな竹、秋には紅葉や月、冬には雪景色や椿などが描かれたものがよく使われます。

茶会の趣旨に合った言葉を選ぶ

茶会の主題に合わせて、適切な禅語や和歌を選ぶことも大切です。例えば、新春の茶会には「松樹千年翠」、感謝を伝える茶会には「和敬静寂(わけいせいじゃく)」など、茶会の目的にふさわしい言葉を選びましょう。

格を考慮する

掛軸には格式があり、茶会の場にふさわしいものを選ぶ必要があります。格式の高い茶会では、禅僧の墨跡が選ばれることが多く、略式の茶会では和歌や絵画の掛軸も適しています。

掛軸の掛け替えのタイミング

掛軸は、基本的に季節の少し前から飾り、季節の終わりとともに掛け替えます。例えば、桜の掛軸は開花前から飾り、満開の頃には次の季節を表す掛軸へと変更するのが良いとされています。こうすることで、茶室に自然の移り変わりを取り入れ、季節感を大切にする日本の美意識を表現することができます。

まとめ

茶道における掛軸は、単なる装飾品ではなく、茶会の趣旨を伝え、季節感を演出し、精神性を高める重要な道具です。千利休も「掛物ほど第一の道具はなし」と語るほど、茶の湯の世界では特別な存在とされています。掛軸を選ぶ際は、季節や茶会の目的に合ったものを選ぶことが大切です。床の間に飾られた掛軸をじっくりと眺め、その意味を考えることで、より深く茶の湯の世界を楽しむことができるでしょう

 

 

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