代表的な香木の種類である「沈香」「白檀」「伽羅」について教えてください。
沈香、白檀、伽羅についてご紹介します。
香道で使う香木
香木とは、広い意味では心地よい香りがある樹木全般のことを指しますが、通常は焚いて香りを楽しむ木のことを指します。
木や木の樹脂を焚いて香りを楽しんだり儀式に使用したりといった文化は世界中にみられ、聖書に登場する「没薬」や「乳香」、インカ帝国で使われていた「パロサント」などは非常に歴史が深い香木といえます。
また、日本では「沈香」「白檀」「伽羅」が古くから珍重され、香道などで使われてきたことから、香木というとこの三つを指すことも多く、香木と聞いてイメージすることが多いのもこの三つです。
今回は、代表的な香木である「沈香」「白檀」「伽羅」の違いを紹介します。
白檀
通常、香木は加熱していない状態では香りがしないか、少し香りがする程度なのですが、白檀は加熱していない状態でも強い芳香を放つという特徴があります。
熱帯性の常緑樹でインドやインドネシアなどに自生しており、各地で香木として幅広く使われてきたほか、木そのものが香ることから扇子や数珠、仏像といった木工品に加工されてきました。
杉などの針葉樹を思わせる爽やかな木の香りに麝香のような甘さが加わった独特な香りです。
香りが強く悪臭を封じ込める効果がある白檀はインドやネパールでは遺体の匂い消しに使用することもあり、日本でも「仏前に供える線香の香り」「お墓の香り」というイメージを持つ人が多いようです。
また、白檀は香木としてそのまま使用するだけではなく、オイルを抽出して使うこともあります。香木とオイルでは香りがかなり違うため、オイルとして使う場合は英語名の「サンダルウッド」で表記されるのが一般的です。
沈香
沈香は595年に兵庫県の淡路島に香木が漂着したと記録されている香木で、水に沈むことからこの名がつけられた香木です。
傷ついた樹木から染み出した樹脂の成分がバクテリアの分解などによって変化することで香りを放つようになるため、香になるまでには非常に長い年月がかかります。そのため沈香は貴重な品で、献上品などに使われてきました。
東大寺正倉院宝物の中に納められている「黄熟香」と呼ばれる沈香は、足利義政、織田信長、明治天皇が切り取ったあとが記録されており、このことから黄熟香を焚くことが権威の象徴であったということがうかがい知れます。
スパイスのような辛さと酸味、甘さ、苦味などが複雑に絡み合った重厚感のある優雅な香りで、産地などによって香り異なるという特徴があり、香道ではその特徴から沈香を「羅国」「真那賀」「真南蛮」などに分類しています。
伽羅
伽羅は香りの特徴によって分けられた沈香の中で「最上級」とされるものです。
樹脂成分が凝縮して香木が黒くなることから、サンスクリット語の「カーラ(黒)」を音写した「伽羅(きゃら)」と呼ばれるようになりました。
沈香と同じく、辛(シン)、甘(カン)、酸(サン)、鹹(カン)、苦(ク)と呼ばれる香りが複雑に絡み合った香りですが、沈香よりもまろやかで深みのある香りだといわれています。
まとめ
白檀、沈香、伽羅は一時期乱獲されたため現在はワシントン条約で保護されています。
また、沈香や伽羅は香木になるまでに非常に長い時間がかかるため、新しい香木を手に入れることはできないといわれており、現存する香木の希少価値が高くなっています。
小さな香木でも驚くような高値になることがあるので、売却を検討している香木や、香木と思われる品をお持ちの方は弊社にご相談ください。