買取価格が違う!オリジナル版画と複製版画(エスタンプ)は何が違うの?
オリジナル版画と複製版画の違いをご紹介します。
意外と知られていない版画の種類
版画には木版画やシルクスクリーン、リトグラフなど様々な種類がありますが、これは「どのような方法で版画を作るか」といった技術による分類です。
実は、版画には技術による分類以外にも「誰が刷ったか」による分類の仕方があります。
これは、一度「版」を作れば誰でも、何枚も作品を作ることができる版画ならではの分類といえるでしょう。
この分類法を使うと、版画は技法に関係なくすべて「オリジナル版画」と「複製版画」に分けることができます。
オリジナル版画とは
例えば、日本の木版画である「浮世絵」は画家が下絵を描き、その下絵を元に「彫り師」が版を作り、作者と「刷り師」が色合わせなどを行いながら刷るというのが基本の流れです。
浮世絵は「分業」で作られているため、すべてを作者が行うというケースはほぼありませんが、海外の版画や近代の版画は作者が下絵、版作り、刷りを行うことが一般的です。
このように、作品作りを作者自らが行っていたり、作者が作品作りをプロデュースして作った版画は「オリジナル版画」と呼ばれ、作者が「自分の作品である」と認めた作品であることから価値が高いものになります。
オリジナル版画の特徴は、作品にサインと限定番号が記入されていることです。サインをすることで「作者が認めた作品である」ことを証明しているということですね。
複製版画とは
一方、複製版画とは「作者が監修していない状態で刷られた作品」をさします。
例えば浮世絵の場合、人気が出て「初版」の作品が売り切れると「第2版」「第3版」というように増刷していきます。
初めて世に出す作品となる初版は、作家がしっかり監修を行いますが、第2版、第3版と版が進むにつれて作者が関わる場面が減っていきます。
また、作者が死んだ後に作品認められて需要があがり、版の権利を所有している遺族などか監修を行って刷られるというケースもあります。
このように、作者がほとんど、あるいはまったく関わらない状態で作られた作品が「複製版画」です。
オリジナルと同じ版を使っているため、偽物を意味する「贋作」ではありませんが、作者が認めた作品ではないので、価値はオリジナルより言葉で、複製版画を「エスタンプ」と呼ぶのは日本だけで、海外では「リプロデュース」と呼ぶのが一般的だようです。
まとめ
オリジナル版画と複製版画は同じ原版を使って刷られた作品ですが、その価値は大きく異なります。
買取査定に出すときは作品がオリジナル版画か、複製版画かを意識しておくと損をするなどのトラブルを避けることができます。