贋作でも高額査定になることがあると聞きましたが、どんな作品なら買い取ってもらえるんですか?
贋作でも高額査定になる場合について説明します。
美術品とは切り離すことができない贋作問題
美術品や工芸品などを購入するときに悩みの種になる贋作は、エジプト時代のパピルスにガラスから宝石を作り出す方法が書かれているなど、非常に古い歴史をもっています。
贋作が作られる理由は金銭的目的・宗教的目的・権威付け目的・名誉目的・愉快犯などがありますが、おそらく「美しいもの」が価値のあるものとしてみなされるようになったころから作られるようになったのではないでしょうか。
真作のコピーである贋作は、基本的に高額にはなりません。
しかし、まれに贋作でも高額査定になることがあります。
作品の完成度が高い
贋作と一言で言っても完成度はさまざまで、誰が見ても「偽物」とわかるものから、プロの鑑定師でも騙されることがあるほど真作に近い贋作も存在します。
例えば、「完成度の高い贋作」として有名なのが、20世紀の画家ハン・ファン・メーヘレンによるフェルメールの贋作です。
メーヘレンが描いたフェルメールの贋作は非常にクオリティが高く、美術品の収集に熱心だったナチス・ドイツもメーヘレンが描いたフェルメールの贋作を真作だと信じて購入していたようです。
また、日本でも肉筆浮世絵の贋作を大学教授が見誤り、画集まで出版されたという「春峰庵事件(しゅんぽうあんじけん)」など、完成度の高い贋作にまつわる事件が起こっています。
贋作を真作と偽って販売する行為は詐欺に当たりますが、贋作を「限りなく真作に見える贋作」として販売、購入することは問題ありません。
美術コレクターのなかには、貴重な絵画や掛け軸などを紫外線による劣化や盗難のリスクから守るために、真作とは別に贋作を「あえて」購入し、飾っている人もいるようです。
「真作のコピー」として考えると贋作は「許されない存在」ですが、真作作者の権威や真作の価値はひとまず横に置き、純粋に「観賞用の作品」として見た場合、完成度の高い贋作は一定の価値が認められるということです。
軸や額縁に価値がある
画や書そのものの美術的・骨董的価値は認められないものの、掛け軸に使われている紙や生地、軸棒、掛緒などに価値があるという場合も高額査定になることがあります。
なかでも軸棒は象牙、紫檀、カリン、堆朱、水晶など、さまざまな素材で作られており、現在では入手困難な素材や銘木が使われた軸棒や、工芸品として価値がある軸棒もあります。
また、西洋絵画の額縁も高い価値がつくことがあります。
なかでも、精緻な彫刻が施された金地の額縁や銘木が素材に使われている額縁などは高価査定に繋がる可能性があります。
状態がよい
贋作としての完成度はそれほど高くなく、美術的・骨董的な価値がない作品でも、保存状態がよくきれいな品は実用品として使用することができます。
掛け軸や絵画の贋作に限らず、茶碗や工芸品など、どのようなジャンルであっても状態がよいものは状態が悪いものより高額になります。
まとめ
お手持ちの美術品、骨董品を売却するとき、真作だと思っていた作品が贋作だといわれるとショックを受けてしまいますが、贋作だからといって「価値がない」とは限りません。
贋作でも完成度の高い作品や制作年代が古い作品は、美術品や骨董品として一定の価値が認められることがあります。
しかし、「贋作である」というだけで価値がないものとみなす業者もいますので、高額査定をご希望の場合は、複数の業者で査定を受けることをおすすめします。