アコギの代名詞、ヤイリギターのK.Yairi。S.Yairi、A.Yairiも目にするが、違いは何ですか?
ヤイリギターのK.Yairi。S.Yairi、A.Yairiの違いをご紹介します。
日本のアコギメーカー「ヤイリ」
演奏用としてはもちろん、コレクターアイテムとしても人気が高いアコースティックギター、通称「アコギ」はさまざまな国や地域で作られています。
なかでも、岐阜県可児市にある「ヤイリギター」は日本はもちろん、海外でも高い人気を誇る日本のアコギメーカーです。
専門店などでも多数取り扱われているヤイリのギターですが、商標を見るとK.Yairi、S.Yairi、A.Yairiという3つの「ヤイリ」があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
一般的に「ヤイリ」と呼ばれるのはK.Yairi
K.Yairiは1935年に矢入儀市が設立した「矢入楽器製作所」の流れをくむブランドで、現在は矢入楽器製作所が改名した「株式会社ヤイリギター」によって製造されています。ブランドが立ち上がったのは第二次世界大戦後1965年で、矢入楽器製作所の設立者、矢入儀市の息子である矢入一男が立ち上げたことから「かずお」のイニシャルである「K」をブランド名に冠しています。
K.Yairiのギターは「国産の手作りギター」であることにこだわりを持っており、1970年代から「30人ほどのクラフトマンによる多種少量の手工生産」というスタイルを守り続けています。品質にこだわった天然木を5年以上かけて自然乾燥させ、熟練の職人が一つ一つ丁寧に作り上げるK.Yairiのギターは、サザンオールスターズの桑田佳祐、ミスターチルドレンの桜井和寿、福山雅治など、現在に至るまで多くの著名なアーティストに愛され、国産名門ブランドとしての地位を確立しています。
K.Yairiとは別ブランドのS.Yairi
S.Yairiは、1935年に「矢入楽器製作所」を設立した矢入儀市の弟、矢入貞夫が1938年に設立した「矢入楽器製造」の流れをくむブランドです。
「矢入楽器製造」はアメリカのギターメーカー、マーティンを手本とした国産ギターを製造し、1970年代には谷村新司、井上陽水など著名なミュージシャンにも愛用されていましたが、フォークソングブーム終焉などの影響で1982年に倒産しました。
しかし、2000年に「矢入楽器製造」の設立者である矢入貞夫の息子、矢入寛の監修で「キョーリツコーポレーション」のブランドとして復活しました。
K.Yairiは「手作りの国産ギター」にこだわっていますが、S.Yairiは高級クラスのギターは寺田楽器に委託、廉価なモデルは中国で製造しており、K.Yairiとは方針が大きく異なります。
A.YairiはK.Yairiの輸出用ブランド
A.Yairiは1970年代から「Alvarez yairi」(アルバレツ・ヤイリ)の商標で販売され始めたK.Yairiの輸出用ブランドです。国内向けのK.Yairiとはラインナップの違いはあるものの、製造工程やポリシーはK.Yairiと同じです。
まとめ
K.YairiとS.Yairiはそれぞれ設立者が親族関係ではあるものの、設立から現在まで一切関係のない別のブランドです。名前が似ているため、混同されることがありますが、楽器作りのポリシーや価格帯なども異なるため、注意が必要です。
また、A.Yairiは輸出用ブランドではありますが、国内向けにも販売されています。